C26 D.I.を用いた指標算出

多くの経済指標では、D.I.を用いて指数化されます。D.I.は単純な話ですが、それを用いて経済指標を算出するため、複雑で膨大な手間暇がかけられています。それがどういったものかを、本質を外さない程度に簡略化し、経済指標算出過程の例を説明します。

C26-1  D.Iとは何か
C26-2  指標算出


C26-1  D.Iとは何か

D.I.」はDiffusion Indexの略で、多くの経済指標算出に用いられます。

通常、判断項目毎に「(1) 良い」「(2) 同じ」「(3) 悪い」といった3択の質問に対し、選択肢毎の回答数から回答数構成率を算出した後、次式により算出します。

D.I.=(第1選択肢の回答構成率)-(第3選択肢の回答構成率)

例えば、回答が以下のような場合、D.I.=25%-20%=+5%ポイント、となります

※  %の差は「%ポイント」あるいは「Index Points=ips」と表記する。

C26-2  指標算出

上記D.I.は単純な話でした。この単純なD.I.値を、例えば国全体の景気判断と見なすため、通常は「標本設計」という作業を行います。

標本設計とは、調査対象企業をどう選ぶかという作業を指しています。通常は、調査母集団を業種や資本金などの層化基準に基づき性質の近いグループに区分し、各グループ単位で標本抽出を行います。

例えば、日銀短観では、調査母集団に含まれる民間企業数を、金融機関を除く約22万社と見込んでいます。その22万社を、まず、

業種:製造業17業種、非製造業14業種の計31業種
企業規模(資本金):大企業(10億円以上)、中堅企業(2千万円以上~10億円未満)、中小企業(2千万円未満)の3段階

の31✕3=93に区分します。そして更に、31業種それぞれについて、

企業規模(売上高)売上高のばらつきを最小化し、且つ、1区分が5社以上

に区分します。結果、2018年3月調査から導入した標本設計では、約22万社の調査母集団から約1万社の標本企業を計389区分に配置したもの、となっています。

日銀短観では、このように標本設計し、調査対象企業を選んでその回答を集計することで、対象企業を代表する業況判断等を指数化している訳です。こうした標本化設計は、日銀短観に限らず、各国の景気指標等で多用されています。

こうした作業を図説したものが『日本銀行調査統計局, 「短観解説」, Page.35の図, 2020年5月』に示されています(下図はその引用)。

以上のように、D.I.は計算方法に過ぎず、この標本設計をどんな区分にするかが、その指標の性質を決めます。

だからもし日銀が景気を良く見せたいなら、3択を (1) すごく良い、(2) 良い、(3) ちょっと良い、と小細工するよりも、標本設計時点で調査対象企業を都合よく選別する方がバレにくいでしょう。がしかし、そんな恣意的操作が統計値に入り込む余地がほとんどないことを、日銀は前記資料に明記しています。

具体的には、調査対象企業の分布と母集団企業の分布の誤差率が一定値以下となるように(分布がほぼ同じになるように)、調査対象企業を選ぶルールを定め、その誤差率を公開している訳です。


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以上

 

C26 D.I.を用いた指標算出” に対して1件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    とてもわかりやすい解説ですね。

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