※07 判別式

経済指標の発表時には、発表項目毎の前回結果市場予想発表結果前回結果の修正結果(以下、単に「修正結果」と略記します)が数値化されます。
これらの大小関係はチャートの動きに影響を与えます。
この影響は、個々の指標毎にほぼ一定の確率で特定期間のローソク足の方向を決める形で現れます。

そこで、前回結果や修正結果と市場予想の大小関係、市場予想と発表結果の大小関係、発表結果と前回結果や修正結果の大小関係を、数式定義しておきます。

「そんなことは数式化しなくてもパッとわかる」という意見はもっともです。
でも、この話はそういう人に話しているのではありません。
過去に遡って何10回分のデータから有為な傾向を見出すためには、数式化しておいた方が便利だから定義しておくのです。

※07-1 事前差異判別式
※07-2 事後差異判別式
※07-3 実態差異判別式
※07-4 複数の指標項目が発表される場合


※07-1  事前差異判別式

指標発表前に前回結果と市場予想はわかっています。
いま、

  • 事前差異判別式=市場予想ー前回結果

という式を定義します。
事前差異判別式の「事前」とは「指標発表の前」の意味です。
一部の指標では、今回の発表前に前回の発表結果が修正されています。
そういった指標では、

  • 事前差異判別式=市場予想ー修正結果

で判別します。

事前差異判別式は、市場予想が指標の改善と悪化のどちらに予想しているのかを、解の符号で判別しています。
失業率などの一部の指標を除けば、事前差異判別式の解の符号が正(>0)ならば、その指標が前回結果よりも改善すると予想されています。
逆に、負(<0)ならば悪化すると予想されています。

一部の指標では、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が高いことがわかっています。


※07-2  事後差異判別式

指標発表前からわかっていた市場予想と、指標発表結果の関係を、

  • 事後差異判別式=発表結果ー市場予想

という式で定義します。
事後差異判別式の「事後」とは「指標発表の直後」の意味です。

事後差異判別式は、発表結果が市場予想を上回ったか下回ったかを、解の符号で判別しています。
解の符号が正(>0)ならば、発表結果が市場予想を上回ったことを意味しています。
逆に、負(<0)ならば発表結果が市場予想を下回ったことを意味しています。

ほとんどの指標では、事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が高いことがわかっています。


※07-3  実態差異判別式

指標そのものが改善したか悪化したかが実態差異です。
よって、そのことを表すには、

  • 実態差異判別式=発表結果ー前回結果

という式で定義します。
一部の指標では、今回の発表前に前回の発表結果が修正されたり、今回の発表で前回結果が修正されます。
そういった指標では、

  • 実態差異判別式=発表結果ー修正結果

で判別します。

実態差異判別式は、発表結果がこれまでの指標値を上回ったか下回ったかを、解の符号で判別しています。
解の符号が正(>0)ならば、発表結果が前回結果や修正結果を上回ったことを意味しています。
逆に、負(<0)ならば発表結果がその逆に下回ったことを意味しています。

一部の指標では、実態差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率が高いことがわかっています。


※07-4  複数の指標項目が発表される場合

ほとんどの経済指標は、いくつか複数の項目(指数)が同時に発表されています。


※07-4-1  代表指数だけ注目すれば良い指標例

例えば、NY連銀製造業景気指数では22項目もの指数が発表されています。
がしかし、そのうちチャートの動きに影響を与えるのは、その代表的指数の「前月に対する事業環境の変化(それがNY連銀製造業景気指数と呼ばれています)」だけ、ということが過去の実績からわかっています。
そうした指標では、前述の各判別式の解の符号が反応方向の予測や解釈にそのまま役立ちます。


※07-4-2  代表指数だけでなく他の指数にも注目した方が良い指標例

一方、ISM非製造業景況指数でも多くの項目が同時発表されています。
けれども、その代表的指数の「景況指数」だけを見るよりも、「景況指数」「事業活動指数」「新規受注指数」を併せて見た方が、指標発表前後のチャートの動きが精度高く説明できることが、過去の実績からわかっています。

例えば、2015年1月集計分から2020年3月集計分までの63回の発表において、分析に適した条件が整った発表事例は59回ありました。
その59事例で、上記3指数に加えて「雇用指数」「価格指数」の各判別式の解の符号と、対応するローソク足の方向の一致率は下表の通りでした(解の符号はプラスが陽線、マイナスが陰線に対応)。

「新規受注指数」「雇用指数」「価格指数」は、市場予想が行われない場合があるものの、「新規受注指数」だけが判別式の解の符号と反応方向の一致率が高いことがわかります。
そして、実態差異判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は、代表的指数の「景況指数」よりも「事業活動指数」の方が僅かながら高いことがわかります。

このように複数の指数が発表される指標では、判別式の解の符号と反応方向の一致率の精度が高い指数を予め見つけておくことが必要です。


こうした分析は「指標間一致性分析」の稿に詳述しています。


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