米国実態指標「小売売上高」発表前後のUSDJPY反応分析(4.1.4訂)

本稿は、米国実態指標「小売売上高」発表前後のUSDJPYの過去反応を分析し、本指標での過去傾向に基づく取引方針を纏めています。


Ⅰ. 指標概説と分析結論
1.1 指標概説
  • 発表機関:商務省経済分析局(BEA:The United States Census Bureau)
  • 発表日時:翌月第2週21:30(冬時間は22:30)
  • 指標内容:全米小売業の月次売上額推計値の前月比

特徴は次の通りです。

  • 注目すべき項目は「小売売上高前月比」と「輸送機器を除く小売売上高前月比」
  • 指標発表直後の反応方向はかなり素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率80%)なものの、反応程度の平均値は中程度(直後1分足値幅平均11.4pips)
  • 他の指標との関係は次の通り
    (1) 2015年以降の実績に基づけば、本指標は消費者物価指数(CPI)生産者物価指数(PPI)・金融政策関連よりもチャートへの影響力が弱い(2.2項参照)
    (2) 本指標の単月毎の改善/悪化方向は、CB消費者信頼感指数ISM製造業景況指数の改善/悪化方向からは予見できない(2.4.3項参照)
  • 指標発表前後の反応の特徴は次の通り
    (1) 前月の実態差異判別式の解の絶対値が3.0超のとき、当月の本指標発表直後には過大反動を起こしがち(2.4.2項参照)
    (2) 同月集計分のISM製造業景況指数の実態差異判別式の解の符号と、当月の本指標発表直後の反応方向は逆になりがち(2.4.3(2)項参照)
    (3) ここ2年余りの直後1分足値幅は、事後差異判別式の解1ips(Index Points)あたり2.4~2.7pipsと安定している(3.2項参照)
    (4) 前回発表結果と今回市場予想の乖離が大きいほど、指標結果の改善や悪化は市場予想が示す方向になりがちで、発表後の反応もそれに従いがち(3.3項参照)
    (5) 指標発表から数分間の追撃成功率は高い(3.5項参照)

指標内容について補足します。

経済分析局はGDPの計算に本指標結果を使用し、米国GDPの占める個人消費は約70%を占めています。
本指標は、月末に発表される個人消費よりも早く、その拡大/縮小を販売側データで把握できます。
また、FRBの法的責務のひとつに物価安定があり、労働統計局は消費者物価指数の作成に本指標結果を利用しています。
このように、本指標の好不調は経済・政策に広く影響を及ぼす点で、市場の関心が高い指標です。

調査は、百貨店や総合スーパーなど1万超の小売業者を対象に、原則、文書(郵便・ファックス)でのアンケートで行われます。
そして、業種別の回答数に偏りが生じてしまった場合は、電話での回答を求める場合があるようです。


さて、多くの指標解説記事では、「小売売上高前月比」よりも「輸送機器を除く小売売上高前月比」を重視すべきとの記述が目立ちます。
輸送機器には自動車が含まれ、自動車販売額は大きいため、消費動向を掴むためには、それを除いた「輸送機器を除く小売売上高前月比」を見るべきだ、との意見です。

けれども、本指標に注目する意義は、GDPの約70%を占める個人消費の動向を把握するためでした。
そして、自動車購入において支払った付加価値分はGDPに反映されており、その販売額は大きい、ということです。
ならば、何のために自動車販売を除いた消費動向を掴むのか、これはおかしな話です。

そして「小売売上高前月比」と「輸送機器を除く小売売上高前月比」のどちらを重視すべきかは、指標発表後にどちらの良し悪しに素直に反応するのか、実績に基づいて判断すべきことです。
後記2.3項に記載の通り、指標発表直後の反応は「小売売上高前月比」に対しての方が「輸送機器を除く小売売上高前月比」に対する反応よりも10%強も素直です。

また、多くの指標解説記事では、本指標のチャートへの影響力を過大に評価しています。
ところが、他の影響力が強い指標との同時発表がないとき、本指標への反応は平均的にそれほど大きくありません。

以上のように、我々アマチュアにもわかりやすく解説するためだと思いますが、多くの本指標解説記事には論理的にも実績面からもおかしな記述が目立ちます。

なお、参考までにこちらに発表事例をリンクしておきます。
発表事例を見ると、最初に「小売売上高前月比」と「その前回発表の修正値」が掲載されています。
「輸送機器を除く小売売上高前月比」は、棒グラフを読み取らないとわかりません。
そんな単純なことが、「小売売上高前月比」に対する初期反応が素直な理由かも知れません。


1.2 分析結論

次節以降の論拠(データ)に基づき、本指標での過去傾向に基づく取引方針を下表に示します(私見)。
データからどのような過去の傾向を見出すかは自由です。

注記:期待的中率が定量化できているのは反応方向だけで(判定対象)、上記の利確や損切のpipsは参考値です(判定対象外)


Ⅱ. 指標分析

以下の分析対象項目は

小売売上高前月比(以下「前月比」と略記)
輸送機器を除く小売売上高前月比(以下「コア前月比」と略記)

です。
指標分析の対象期間は、特に断らない限り2015年1月集計分から2020年2月集計分までの62回分です。

修正が行われる場合は翌月発表時に前月発表値が遡及改定されます。


2.1 指標分析対象

分析対象範囲の全容を以下にグラフで示しておきます(グラフを最新に都度更新していくことが目的ではありません)。
配置は、前月比(左)、コア前月比(右)、となっています。

本指標統計値を下表に纏めておきます。

2018年12月集計分の急落原因は不明で、翌1月集計分のコア前月比急回復はその反動と見なせます。

上表では書式に基づき平均値と標準偏差を記載していますが、ほとんど意味がありません
むしろ、上記各指数と後記2.3項に示す本指標全体の各判別式の解を統計的に整理しておいた方が参考になります。

データ数が増えるほど、毎月の発表結果の分布形状は正規分布から外れかねませんが、判別式の解の分布は正規分布に近づくことが経験的にわかっています。


2.2 指標間影響力比較分析

指標間影響力比較分析は、本指標が他の指標と同時発表された過去事例の実績に基づき、本指標よりもチャートへの影響力が強い指標との同時発表時を、本指標の反応方向に関わる分析対象から除くために行います
影響力の強さ」は、過去の同時発表時の事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率によって判定しています。

対象期間に本指標と同時発表された指標と、影響力比較結果を下表に一覧します。

指標名が青太字ならば本指標の方が影響力が強く、赤太字ならば本指標の方が影響力が弱い、と判定しています。
なお、指標名の後ろに⇅印がある指標は、数値減少を改善と見なしています。

本指標での取引は、PPICPI金融政策関連との同時発表時には避けた方が良い、が実績に基づく結論です。
すると、以降の反応に関わる分析対象は、対象期間の62回発表のうち36回の事例となります。

なお、本指標がPPIよりも影響力が弱い、という結論には異論もあるでしょう。
いずれ同時発表回数をもっと多く集計すれば、この結論は逆になる可能性が高い、とも考えています。
がしかし、対象期間の実績からは上記結論です。


2.3 項目間影響力比較分析

項目間影響力比較分析では、ひとつの指標で複数の注目すべき指数(項目)が発表されるとき、各指数(項目)が反応方向に与える影響力の強さと方向を求めます
各指数が反応方向に与える影響力の強さは、事前差異判別式の解の符号が直前10-1分足と、事後差異判別式の解の符号が直後1分足と、実態差異判別式の解の符号が直後11分足と、方向一致率が高くなるように判別式の各係数を求めます。
判別式の係数の値の大きさと符号が、各指数が反応方向に与える影響力の強さと見なせます。

さて、本指標の分析対象項目は、前月比コア前月比、でした。
まず先に、2.2項結論に基づく36回の事例について、各項目毎の差異判別式の解の符号とローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

ネットで本指標を調べる限り「コア前月比に注目すべき」との解説が数多く見受けられます。
がしかし、少なくとも本稿分析対象事例を集計した限り、コア前月比よりも前月比の方が指標発表直後の反応が11%も素直なことがわかります。
指標取引に勝ちたいならば、コア前月比よりも前月比に注目すべきです。

判別式は次のように立式します。

  • 差異判別式=A✕前月比の差異+B✕コア前月比の差異
    但し、
    事前差異=市場予想ー前回結果
    事後差異=発表結果ー市場予想
    実態差異=発表結果ー修正結果(修正なければ前回結果)

上式において、各判別式の係数と、各判別式の解の符号と各ローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

本指標は、指標発表直後こそかなり素直に反応するものの、発表以前や発表から暫く経つとどっちに反応するのかわかりません


2.4 指標予想分析

指標予想分析は、あわよくば指標結果の良し悪しを発表前に予想し、あわよくば発表直後の反応方向を予想するための分析です

2.4.1 移動平均線分析

本分析は省略します。

2.4.2 過大反動分析

過大反動分析は、過大反動を見込んだ取引の勝ちやすさを定量化しています

例えば、前月と前々月の指標発表結果に大きな差があったとき、当月はその差と逆方向に反動を起こすという予想がしっくりきます。
けれども、市場予想もこの反動を見込んでいるならば、その反動が市場予想を超えるほど大きくなるかに関心を絞るべきでしょう。
この「市場予想を超えるほど大きな反動」を「過大反動」と呼び、過大反動を見込んだときに指標発表直後に素直な方向に反応したならば「仮説一致」と判定しています。
分析の方法論等の詳細はこちらを参照願います。

さて、2.3項記載の実態差異判別式を用いて、その解の絶対値を階層化したときの過大反動率と上記仮説一致率は下表の通りです。

上表記載の通り、前月の実態差異判別式の解の絶対値が9.0超のとき、過大反動を起こしがちです(「過大反動率」を参照)。
そして、過大反動が起きると見込んで指標発表直前にポジションを取得した場合、前月実態差異判別式の解の絶対値が3.0超ならば、67~100%の期待的中率(「仮説一致率」を参照)があります
過大反動が起きると見込む方向とは、前月実態差異判別式の解の符号の逆方向のことです。
結論、本指標は本分析の適合事例です。

なお、上表にて「全数」の「判定回数」が31回となっています。
その理由を下表に整理しておきます。


2.4.3 同期/連動指標分析

同期/連動指標分析は、分析対象指標と比較対象指標の上下動の一致率が高くなる時差を求め、その一致率が取引の参考たり得るかを定量判断するために行います。
上下動を調べるため、同期/連動指標分析には、ふたつの指標の実態差異判別式の解の符号の一致率を調べています。

さて、本指標よりも先に発表が行われている関連指標には、消費者視点でCB消費者信頼感指数、事業者視点でISM非製造業景況指数があります。
以下に、それぞれ本指標との同期/連動指標分析を行います。

(1) CB消費者信頼感指数との対比

消費者の購買意欲について、CB消費者信頼感指数UM消費者信頼感指数は、ほぼ同時期にほぼ同内容の調査を行っています。
但し、UM消費者信頼感指数は、CB消費者信頼感指数よりも、約1桁少ないデータ数に基づく上、電話アンケートで済ませています。
そのため、UM消費者信頼感指数は、結果のブレが非常に大きい上に、同月集計結果が前月よりも改善したか悪化したか、CB消費者信頼感指数とあまり一致しないことがわかっています。
よって、消費者の購買意欲が上向きか下向きかは、CB消費者信頼感指数の方がアテにできる、と考えています。

単月毎のCB消費者信頼感指数と本指標の実態差異判別式の解の符号を比べた結果を下図に示します。
下図横軸は、本指標がCB消費者信頼感指数よりも何か月先行/遅行したか、を表しています。
下図縦軸は、両指標の実態差異判別式の解の方向一致率です。

さて、消費者の購買意欲の変化が実際の小売売上高に反映される、と考えます。
このとき、上図で灰線よりも左側は偶然の一致率を表し、灰線より右側が両指標の一致率を表している、と考えられます。
結果、灰線より右側で左側の上下動よりも大きくブレている月は見当たりません。
よって、単月毎の実態差異判別式の解の符号を見比べる限り、両指標の改善や悪化には相関が見受けられない、が結論です。

次に、同月集計分のCB消費者信頼感指数の良し悪し(実態差異判別式の解の符号)と、本指標発表前後の反応方向の方向一致率を求めておきます。

同月集計分のCB消費者信頼感指数は小売売上高よりも先に発表されています。
けれども、CB消費者信頼感指数の結果がどうあれ、そのことは本指標発表前後の反応方向に影響を与えていないようです。

なお、上表の判定回数は、2.2項結論に基づく判定除外が26回、直前10-1分足値幅が0による除外が5回、直後1分足値幅が0による除外が1回、を踏まえています。


(2) ISM非製造業景況指数との対比

ISM非製造業景況指数は、小売業の景況感だけを対象にしている指標ではありません。
けれども、念のため本指標との同期/連動関係を調べておきます。

単月毎のISM非製造業景況指数と本指標の実態差異判別式の解の符号を比べた結果を下図に示します。
下図横軸は、本指標がISM非製造業景況指数よりも何か月先行/遅行したか、を表しています。
下図縦軸は、両指標の実態差異判別式の解の方向一致率です。

さて、事業者の景気予想の変化が実際の小売売上高に反映される、と考えます。
このとき、上図で灰線よりも左側は偶然の一致率を表し、灰線より右側が両指標の一致率を表している、と考えられます。
結果、灰線より右側で左側の上下動よりも大きくブレている月は見当たりません。
よって、単月毎の実態差異判別式の解の符号を見比べる限り、両指標の改善や悪化には相関が見受けられない、が結論です。

次に、同月集計分のISM非製造業景況指数の良し悪し(実態差異判別式の解の符号)と、本指標発表前後の反応方向の方向一致率を求めておきます。

同月集計分のISM非製造業景況指数は小売売上高よりも約1.5か月前に発表されています。
それなのに、ISM非製造業景況指数が悪化していれば本指標発表直後1分足は陽線、改善していれば陰線、という偏りが大きいようです。
この偏りは、因果関係を説明しようとすると、どう説明しても屁理屈のようになってしまうので、偶然と見なしておいた方が良いのかも知れません。

なお、上表の判定回数は、2.2項結論に基づく判定除外が26回、直前10-1分足値幅が0による除外が5回、直後1分足値幅が0による除外が1回、を踏まえています。


Ⅲ. 反応分析

以下の反応分析の対象は2.3項記載の36回で、毎年の対象数の内訳は下表の通りです。

2020年発表分は、2020年2月集計分までのカウントとなっています。


3.1 反応分析対象

反応分析対象の直前10-1分足(左上)・直前1分足(左下)・直後1分足(右上)・直後11分足(右下)の各始値基準ローソク足を下図に示します。
下図において歯抜けとなっている月は、2.2項結論により反応分析から除外した月です。
こんな図を眺めても仕方ありませんが、分析対象開示のために示しておきます。

過去の反応程度とその分布を一覧しておきます。

指標結果に最も素直に反応しがちな直後1分足値幅は過去平均で11.4pipsで、反応程度は中程度の指標です。
但し、指標発表後の順跳幅の過去最大値は非常に大きく、指標発表時刻を跨いだ取引には注意が必要です。

また、感覚的には指標発表後の上下動が激しいときもあるものの、一足内反転率を見れば、指標発表後に順跳幅より逆跳幅が大きくなることは3%と、3年に1度ぐらいしか起きません。


3.2 利得分析

利得分析は、差異判別式の解の1単位当たり何pipsの反応が起きたかを、過去の実績から検証しています。

分析内訳として指標差異と反応程度の期間推移を以下に示します。

反応程度を指標差異で割った利得分析の結果を下図に示します。

2018年以降は極端に本指標への反応がざっくり半減した結果、利得がそれ以前よりも急減しています。
その理由を経済学的や金融政策的に色々と挙げることができるにせよ、そういうこととはちょっと違う理由もあります。

2017年以前は、本指標とCPIやPPIの同時発表が多く、その結果、本指標もまた反応が大きい指標だと考える人が市場に多くいたから、本指標が単独で発表されても反応が大きかった、と考えられます。
ところが、CPIやPPIとの同時発表が極端に減ると、本指標本来のpipsしか反応が起きなくなり、皆がそのことに気がついた、と考えた方が自然です。

個々の指標への反応は、その指標よりも影響力が強い指標を除いて集計・分析しなければ、何を分析しているのかがわからなくなります。
多くの初心者やアマチュアは、本指標の反応を大きめに期待し続けているようです。

なお、事後差異判別式の解1ips(Index Points)毎の直後1分足値幅は過去平均で4.2pipsです。
利得も2017年以前と2018年以降では大きな差異があるものの、2018年以降に限れば、事後差異判別式の解1ips毎の直後1分足値幅は2.4~2.7pipsと、かなり安定しています。


3.3 指標一致性分析

指標一致性分析は、差異判別式の解がローソク足の大きさや方向を示唆していないかを定量分析しています。

各判別式の解とローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

いずれも相関係数(R^2値)が低く、回帰分析の近似式によって反応の方向と程度を予想することはできません
そこで、各差異判別式の解の符号と4本足各実体部の方向一致率を下図に求めます。
反応程度の予想を諦め、反応方向だけに分析目的を絞る訳です。

上図から、事後差異判別式と指標発表後の反応方向はかなり素直なことがわかります。

さて、指標発表前に判別式の解がわかっているのは事前差異しかありません
2.2項以降、分析対象は36回分の発表でした。
この36回の事例について、事前差異判別式の解の絶対値を階層化し、その階層毎の解の符号と4本足チャート各ローソク足の方向一致性分析を行った結果を下図に示します。

本項分析結論は、

  • 直前10-1分足は、事前差異判別式の解の絶対値が1.3超のとき、その解の符号と同方向になりがち(場面発生頻度39%、期待的中率67~73%)
  • 直後1分足は、事前差異判別式の解の絶対値が2.6超のとき、その解の符号と同方向になりがち(場面発生頻度24%、期待的中率73~91%)
  • 直後11分足は、事前差異判別式の解の絶対値が2.6超のとき、その解の符号と同方向になりがち(場面発生頻度24%、期待的中率67~82%)

です。


3.4 反応一致性分析

反応一致性分析は、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の大きさや方向を示唆していないかを定量分析しています。

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

上右図の直後1分足と直後11分足の関係を除けば相関係数(R^2値)が低く、回帰分析の近似式によって反応の方向と程度の両方を予想することはできません
比較的、相関係数が高い直後1分足と直後11分足の関係についても、近似式の係数は1を割っています。
近似式の係数が1未満ということは、直後1分足の方向を見てから追撃しても、直後11分足で利確できるか確信が持てません。

そこで、4本足各実体部同士の方向一致率を下図に求めます。
反応程度の予想は捨てて、反応方向だけに分析目的を絞る訳です。

さて次に、直前10-1分足は、指標発表前にローソク足が完成しています
2.2項以降、分析対象は36回分の発表でした。
それぞれの場合において、直前10-1分足との方向一致率を下図に示します。

よって、本項分析の結論は、

  • 直前10-1分足値幅が1.6pips以下(過去平均の0.5倍以下)のとき、直前1分足値幅方向は直前10-1分足値幅方向と逆になりがち(場面発生頻度19%、期待的中率68%)

です。


3.5 伸長性分析

伸長性分析は、指標発表1分後から反応を伸ばしがちだったか否かを定量分析しています。

下図をご覧ください。

順跳幅の伸長率は86%ですが、値幅の伸長率は57%です。
指標発表後は初期反応方向を確認次第すぐに追撃開始し、どこで決済するのか悩む結果です。

さて、指標発表によって一方向に反応が伸びるときには、経験から言って最初の兆しは直後1分足順跳幅の大きさに現れがちです
そこで、直後1分足順跳幅を階層化し、階層毎に直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしがちか否かを検証します。

まず順跳幅方向です。

反応を伸ばすか反転するかのどちらかです。
やはり、指標発表後は初期反応方向を確認次第すぐに追撃開始です。

次に値幅方向です。

本項分析結論は、

  • 直後1分足順跳幅がどうあれ初期反応方向に直ちに追撃開始し、指標発表後1分を過ぎたら利確の機会を窺う(場面発生頻度58%、期待的中率86~96%)
  • 直後1分足順跳幅が8.0pips超(過去平均値の0.5倍超)に達したら、直後1分足終値がつくのを待って追撃を開始し、直後11分足終値がつくまでに解消(場面発生頻度40%、期待的中率60~72%)

です。


Ⅳ. 取引成績

分析記事は不定期に見直しを行っており、過去の分析成績と取引成績は下表の通りです。

上表「分析成績」は、取引方針の反応方向についてのみ判定を行い、反応程度についての判定は行っていません。
結果、分析成績・勝率・平均取引時間のいずれも悪くありません。


関連リンク

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改訂履歴

4.0訂(2020年1月12日) 新書式反映
4.1訂(2020年4月13日) 2020年2月集計分までを反映、1.2項表を最新に更新、2.4.3項は分析方法を変更、3.1項に始値基準ローソク足を開示

以上

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