米国景気指標「CB消費者信頼感指数」発表前後のUSDJPY反応分析

本稿は、米国景気指標「カンファレンスボード消費者信頼感指数※1」発表前後のUSDJPYの過去反応を分析し、本指標での過去傾向に基づく取引方針を纏めています。

発表機関
産業審議委員会(Conference Board:以下「CB」と略記)
発表日時
当月最終火曜日の23:00(冬時間24:00)
発表内容
全米約3000世帯の家計状況と景気の見通しを総合的に指数化※2発表事例※3
反応傾向

  • 注目内容=「消費者信頼感指数(以下「信頼感指数」と略記)」の対予想乖離
  • 反応程度=かなり小さい(直後1分足値幅の過去平均値3.8pips
  • 反応方向=かなり素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率78%
  • 伸長性=初期反応方向に伸びるか留まるかがわからず、追撃にせよ逆張りにせよ判断が難しい

※1  カンファレンスボードConference Board)とは、経済団体や労働組合などで構成された非営利民間調査機関の名称。調査名称は「Consumer Confidence Survey消費者信頼感調査)」で、その代表指数が「Consumer Confidence Index消費者信頼感指数)」。

※2 調査は、回答数が約3,000 世帯となるように、対象世帯約5,000に毎月1日頃に調査票を郵送し、18日頃までに得られた回答に基づく。その後に回収された回答は、翌月発表時に前月結果の改定値(修正結果)として反映される。5つの質問への回答から信頼感指数ICS=Index of Consumer Sentiment)、そのうち2つの質問への回答から現況指数ICC= Index of Current Economic Conditions)、残る3つの質問への回答から期待指数ICE=Index of Consumer Expectations)、を定義式に基づき求めている。

※3  通常、ICSが発表画面巻頭に記される。文書形式での発表のため、読み進めないとICCICEは読み取れない。この読み取り難さのため、発表後の初期反応はICSの良し悪しのみに応じているように見受けられる。


Ⅰ. 分析結論
1.1 目次と要点
Ⅰ. 分析結論
「こうなればこうなる」という過去傾向は見出しにくく、発表後の反応伸長方向も再現性が不十分。ポジションは短時間で微益を積み重ね、大きく稼ごうとしない方が良い。取引が難しい指標である。
Ⅱ. 分析対象
2015年1月集計分以降の「信頼感指数」について、指標分析は68事例、反応分析は49事例が対象(傾向分析するには十分な事例数)。
Ⅲ. 指標分析
住宅関連指標や金融関連との同時発表時は反応分析に含めない
発表結果が大きく変化しても、翌月に過大反動を起こしにくい
ほぼ同時期に同内容の調査結果が先に発表されるミシガン大学消費者信頼感指数速報値とは、単月毎の指標増減の相関がない。
Ⅳ. 反応分析
高い期待的中率となる過去事例は、いずれも取引機会が少ない(過去事例も少ないことを意味し、取引方針としての信頼性が低い)。
Ⅴ. 過去成績
今次改訂以前の分析適用率は64%、分析的中率は64%、実取引における分析適用時勝率は75%
1.2  結論

次節以降の論拠(データ)に基づき、本指標での過去傾向に基づく取引方針を下表に示します(私見)。
データからどのような過去の傾向を見出すかは自由です。

※4  上表において、事後判定対象は反応方向のみ。参考pipsは過去の平均値や中央値やそれらの差。利確や損切の最適pipsは、その時々のボラティリティ、トレンド状態、レジスタンス/サポートとの位置関係によって大きく異なるため、事前予想できず判定対象外。


Ⅱ. 分析対象
2.1 分析母数

指標分析の対象は、2015年1月集計分から2020年8月集計分までの米国CB消費者信頼感指数(以下「信頼感指数」と略記)です。

市場予想は毎回見つかり、発表結果は翌月発表時にほぼ毎回修正されています。

一方、反応分析の対象回数は、下表の通り49回に減少します。

反応分析の対象回数が減った理由は、後記3.1項に示す通り、影響力の強い他の指標との同時発表時を除いて分析するためです。


2.2 指標推移

対象期間における指標推移を下図に示します。
このグラフには、参考のため、市場予想と発表結果の6回移動平均線軌跡も重ねてプロットしています。

※5  このグラフは分析データ開示のために載せており、グラフを本指標の発表毎に最新に更新していくことが本サイトの目的ではない。

上図から読み取れることは、全般的に市場予想が発表結果より1か月程度遅れて追従しているようです。
また、大統領選(2016年11月)の頃から上昇基調が明確化し、右端の2020年3月の急減はコロナ禍に伴う影響です。

参考までに信頼感指数の統計値を下表に示しておきます。

そして、各指数の判別式の解の統計値を下表に示しておきます。

データ数が増えるほど、毎月の発表結果の分布形状は正規分布から外れかねませんが、判別式の解の分布は正規分布に近づくことが経験的にわかっています。


2.3 反応結果

対象期間における4本足チャート各ローソク足の各始値基準ローソク足を下図に示します。
図の配置は、上から直前10-1分足直前1分足直後1分足直後11分足となっています。
下図の歯抜け箇所は、後記3.1項記載の通り、他の指標と同時発表が行われたときです。

上図における各ローソクの反応程度の統計値を下表に一覧します。

指標結果の良し悪しに最も素直に反応しがちな直後1分足値幅の過去平均値は3.8pipsで、反応程度はかなり小さい指標です。

平均的には、直後11分足の順跳幅と値幅が直後1分足のそれらを上回っています。
このことは、指標発表後に直ちに追撃開始し、直後11分足順跳幅が直後1分足順跳幅を超えて反応を伸ばすのを狙うべき、と示唆しています


Ⅲ. 指標分析

以下の各項タイトル分析名をクリックすると、各分析方法の詳細説明頁に移ります。


3.1 指標間影響力比較分析

対象期間に本指標と同時発表された指標と、影響力比較結果を下表に一覧します。

指標名が青太字ならば本指標の方が影響力が強く、赤太字ならば本指標の方が影響力が弱い、と判定しています。

いま、中古住宅販売件数相対基準指標と考え、新築住宅販売件数中古住宅販売件数、と仮定します。
このとき、新築住宅販売件数と本指標は、方向一致数6回・不一致数4回で、方向一致率が等しくなります。
そのため、現時点では新築住宅販売件数と本指標のチャートへの影響力の強弱はわからない、と判定しています。

ともあれ、本指標より影響力が強い指標との同時発表時に本指標の反応方向を分析しても意味がありません。
そのため、以降の反応に関わる分析は、上表赤太字指標と同時発表時を含まずに行うことにします。
すると、以降の反応に関わる分析対象は、対象期間の68回発表のうち49回の事例となります。


3.2 項目間影響力比較分析

対象項目は信頼感指数だけなので、項目間影響力比較分析は行いません。

判別式は、

  • 事前差異判別式=市場予想ー前回結果
  • 事後差異判別式=発表結果ー市場予想
  • 実態差異判別式=発表結果ー修正結果(修正が行われなかった場合は前回結果)

です。


3.3 利得分析

分析内訳として指標差異(左上)と反応程度(左下)の期間推移と、分析結果として反応程度を指標差異で割った利得分析結果(右)を示します。

最近は以前に比べて反応程度がやや小さくなっています。
その結果、事後差異判別式の解1ips(Index Points)毎の直後1分足値幅も、最近は以前よりもかなり小さくなっています。


Ⅳ. 反応分析

以下、各項タイトルの分析名をクリックすると、各分析方法の詳細説明頁に移ります。


4.1 移動平均線分析

結果を下表に示します。

仮説一致率は50~66%で、実績は仮説を棄却しています。
結論、本指標は本分析の不適合事例です。

なお、上表において「翌月から」の「判定回数」が46回となっています。
その理由を下表に整理しておきます。


4.2 過大反動分析

前月の実態差異判別式の解の絶対値の大きさ毎に過大反動分析を行った結果を下表に示します。

結果、上表記載の通り、前月の実態差異判別式の解の絶対値が大きいほど、過大反動が起きにくくなります(上表「過大反動率」参照)。
そして、前月実態差異判別式の解の絶対値が9.2超のときは、過大反動を起こさないと見込んだ方向に反応しがちです(上表「仮説一致率」参照)。
「過大反動を起こさないと見込む」とは、前月実態差異判別式の解の符号と当月の直後1分足の方向が一致することを見込む、ということです。
結論、本指標は本分析の不適有効事例です。

なお、上表にて「全数」の「判定回数」が49回となっています。
理由要点を下表に整理しておきます。


4.3 同期/連動型指標分析

下表は、本指標とUM消費者信頼感指数速報値の同期関係を調べた結果です。

上表から、両指標の実態差異判別式の解の符号の一致率は54%しかないことを示しています(上表「指標分析」の「方向一致率」参照)。
そして、当月の本指標発表直後1分足が当月のUM消費者信頼感指数速報値の実態差異判別式の解の符号と40%しか方向一致していないことを示しています(上表「反応分析」の「方向一致率」参照)。
すなわち、本指標発表直後の反応方向を予想するために、先に発表されたUM消費者信頼感指数速報値は参考になりません


4.4 指標一致性分析

各判別式の解とローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。
但し、回帰分析を行う都合から、ここでは2020年3月~4月集計分のデータを除いています。
判別式の解の値が極端に大きすぎたそれらデータを含めない方が、通常時を表す回帰式となる、と考えたからです。

どのグラフも相関係数(R^2)が低く、回帰式による反応程度の予測がアテにできないことがわかります。
上左図にいたっては、いくつかの大きすぎる事前差異判別式の解の絶対値と反応によって、何が何だかわかりません。

次に、各判別式の解の符号と4本足チャート各ローソク足値幅方向の一致率を纏めた下図をご覧ください。
ここからは2020年3月~4月集計分のデータも含めます。

事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率が78%、実態差異判別式の解の符号と直後11分足値幅方向の一致率が71%と高く、本指標発表後の反応が素直なことがわかります。

さて、指標発表前に判別式の解がわかっているのは事前差異しかありません
そこで下図に、事前差異判別式の解の絶対値を階層化し、その階層毎に事前差異判別式の解の符号と各ローソク足の指標方向一致率を求めました。

本項分析結論は、

  • 事前差異判別式の解の絶対値が1.6超2.4以下のとき、直前1分足はその解の符号と逆方向になりがち(場面発生頻度19%、期待的中率70%)
  • 事前差異判別式の解の絶対値が2.4超のとき、直後11分足はその解の符号と同方向になりがち(場面発生頻度15%、期待的中率70%)

です。


4.5 反応一致性分析

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

いずれも相関係数(R^2値)が低く、どっちにどれだけ反応するかの回帰式での予測が困難です。

次に、4本足チャート各ローソク足毎の方向率や、ローソク足同士の値幅方向の一致率を纏めた下図をご覧ください。

直後1分足と直後11分足の方向一致率が73%である点を除けば、見るべき傾向がありません。

さて、直前10-1分足は、指標発表前にローソク足が完成しており、その後のローソク足方向を示唆している可能性があります
対象事例について、直前10-1分足値幅を階層化し、その階層毎に反応方向一致性分析を行った結果を下図に示します。

本項分析の結論は、

  • 直前10-1分足値幅が5.6pips超(過去平均の約1.5倍)のとき、直後11分足値幅方向は直前10-1分足値幅方向と同じになりがち(場面発生頻度9%、期待的中率67%)

です。


4.6 伸長性分析

前項に示した通り、直後1分足と直後11分足の方向一致率は73%です。
がしかし、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばすか削るのかはわかっていません。

下図をご覧ください。

直後1分足よりも直後11分足の順跳幅が同方向に伸びたことは59%、値幅が同方向に伸びたことは55%でした。
この数字では初期反応方向への追撃を勧める訳にはいきません。

さて、指標発表によって一方向に反応が伸びるときには、経験から言って最初の兆しは直後1分足順跳幅の大きさに現れることがあります
そこで、直後1分足順跳幅を階層化し、階層毎に直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしがちか否かを検証します。

まずは順跳幅方向です。

次に値幅方向です。

本項分析結論は、

  • 直後1分足順跳幅がどうあれ、指標発表後初期反応方向への追撃可否はわからない

です。


Ⅳ. 取引成績

分析記事は不定期に見直しを行っており、過去の分析成績と取引成績を検証します。

下表「分析成績」は、取引方針の反応方向についてのみ判定を行い、反応程度についての判定は行っていません。
そして当然のことながら、分析時点よりも過去に遡った分析的中率には意味がありません(最新の取引方針に示した期待的中率通りになってしまいます)。
よって、下表は事前に取引方針を開示したときの成績のみを集計しています。

結果、

  • 狙った発表事例(指標発表前に取引方針を開示)での方針適用率は64%
  • 方針適用時の分析的中率は64%、そのときの実取引勝率は75%
  • 1発表当たりの平均獲得pipsは+4.68pips、同平均取引時間は3分9秒

です。
悪い成績ではありません。

※7  実取引勝率には方針外取引の成績を含まない。ここに挙げた実績は全て、別サイトの該日付ないしはその前日の投稿で事前に取引方針を開示しています。


関連リンク

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改訂履歴

3.0訂(2019年11月8日) 新書式反映
3.1訂(2020年4月5日) 2020年2月集計分までを反映、1.2項表を最新に更新、2.4.3項は分析方法を変更、3.1項に始値基準ローソク足を開示
3.2訂(2020年9月26日) 2020年8月集計分までを反映

以上

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