米国景気指標「ISM製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(4.1.4訂)

本稿は、米国景気指標「ISM製造業景況指数」発表前後のUSDJPYの過去反応を分析し、本指標での過去傾向に基づく取引方針を纏めています。


Ⅰ. 指標概説と分析結論
1.1 指標概説
  • 発表機関: 供給管理協会(Institute for Supply Management)
  • 発表日時:翌月第1営業日23:00(冬時間は24:00)
  • 指標内容:全米製造業の事業活動の変化

特徴は次の通りです。

  • 注目すべき項目は「景況指数」「価格指数」「雇用指数」「新規受注指数」で、指標発表後の反応方向への影響力が特に強いのは「景況指数」の予想乖離(2.3項参照)
  • 指標発表直後の反応方向はかなり素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率83%)で、反応程度は中程度(直後1分足値幅の過去平均値10.3pips)
  • 他の指標との関係は次の通り
    (1) 本指標のチャートへの影響力は強く、金融当局の会見開始時刻と同時発表でない限り、他の指標との同時発表を気にする必要がない
    (2.2項参照)
    (2) 同月集計分のNY連銀製造業景気指数Phil連銀製造業景気指数がともに前月より改善/悪化で一致したとき、本指標もそれに一致しがちだが、そのことを根拠にした取引は勧められない
    (2.4.3項参照)
  • 指標発表後の反応には次の傾向が窺える
    (1) 前月の実態差異判別式の解の絶対値が20超のとき、過大反動が起きると見込んで指標発表直前にポジションを取得すると、期待的中率は73%(2.4.2項参照)
    (2) 事前差異判別式の解の絶対値が過去平均値の2倍を超えているときは、その解の符号と指標発表後の反応方向は一致しがち(3.3項参照)
    (3) 直後1分足順跳幅が大きくなるほど、直後11分足順跳幅は直後1分足順跳幅よりも反応を伸ばしがち(3.5項参照)

指標内容について補足します。

本指標の指数化過程は複雑です。

調査対象は、全米製造業の購買部門もしくはサプライ部門の幹部です。
質問項目は多岐に亘り、項目毎に前月に比べて当月の状況を肯定的・否定的・同じの3択で答える形式で行われます。
そして、項目毎に「肯定的な回答数」に「同じという回答の半数」を加えて点数化します。
点数は「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の5項目の1つか複数に集計され、5項目が別個に点数集計されます。
更に、この5項目の重み付けも変えて集計したのがISM製造業景況指数(以下「景況指数」と略記)です。
また、この過程のどこかで、製造品目の分野毎にGDPへの貢献度に応じて重み付けと、季節調整が行われています。

なお、ISMはこれを購買担当者景気指数=PMIと呼称しています。
が、旧マークイット社の製造業PMIと区別するため、以下本稿では「景況指数」に呼称を統一します。

複数の項目への回答を重み付けを変えて加算して指数化している点は、NY連銀製造業景気指数Phil連銀製造業景気指数との違いです。
また、本指標の調査への回答は月の大半の期間を通じて集まり、それを翌月月初に間にあうように指数化しています。
「月の大半の期間」という点もまた、月の前半に集めた回答を集計するNY連銀製造業景気指数Phil連銀製造業景気指数との違いです。

ちなみに、ISMは本指標のレポートを「MANUFACTURING INDEX SUMMARIES(工業指標概要)」という名称で発行しています。
参考までに、発表事例をこちらにリンクしておきます。
残念ながら、調査票実物は見つけられませんでした。


1.2 分析結論

次節以降の論拠(データ)に基づき、本指標での過去傾向に基づく取引方針を下表に示します(私見)。
データからどのような過去の傾向を見出すかは自由です。

注記:期待的中率が定量化できているのは反応方向だけで(判定対象)、上記の利確や損切のpipsは参考値です(判定対象外)


Ⅱ. 指標分析

以下の分析対象項目は、

景況指数
価格指数
雇用指数
新規受注指数

の4つです。
指標分析の対象期間は、2015年1月集計分から2020年2月集計分までの62回分です。

本指標4指数は対象期間にほとんど前月発表結果が修正されていません。
本指標の修正は翌月発表時に行われます。


2.1 指標分析対象

分析対象範囲の全容を以下にグラフで示しておきます(グラフを最新に都度更新していくことが目的ではありません)。
配置は、景況指数(左上)・価格指数(左下)・雇用指数(右上)・新規受注指数(右下)、となっています。
なお、景況指数のグラフには、2.4.1項の移動平均線分析のため、市場予想と発表結果の移動平均線(6回平均)も重ねてプロットしています。

景況指数と価格指数は、毎回、市場予想があります。
そして、雇用指数は市場予想が見つからないことがあり、新規受注指数は滅多に市場予想が見つけられません(市場がその指数に関心を持っていないことがある)。
ともあれ、他の多くの指標と同様に、市場予想は発表結果に追従するように遅れて変化します。

左上の景況指数が下降に転じたと判断できるのは、最後のピーク形成時点(2018年9月)ではありません。
2019年1月に、それ以前の57~62ips(Index Points)間のレンジを下抜けてから、そう判断できます(景況指数の6回移動平均線のクロスは2019年1月に起きています)。
但し、価格指数と新規受注指数を見ると、2018年前半に形成されたピークから、総合値の景況指数の下降転換が近々に起きることが示唆されていた、と解釈できます。

各指数の統計値を下表に纏めておきます。

書式に基づき、平均値と標準偏差を記載していますが、本指標ではほとんど意味がありません
むしろ、上記4指数と後記2.3項に示す本指標全体の各判別式の解を統計的に整理しておいた方が参考になります。

例えば、後記2.3項に示す本指標全体の事後差異判別式

  • 7✕景況指数の事後差異+1✕価格指数の事後差異

です。
データ数が増えるほど、毎月の発表結果の分布形状は正規分布から外れかねませんが、判別式の解の分布は正規分布に近づくことが経験的にわかっています。


2.2 指標間影響力比較分析

指標間影響力比較分析は、本指標が他の指標と同時発表された過去事例の実績に基づき、本指標よりもチャートへの影響力が強い指標との同時発表時を、本指標の反応方向に関わる分析対象から除くために行います
影響力の強さ」は、過去の同時発表時の事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率によって判定しています。

対象期間に本指標と同時発表された指標と、影響力比較結果を下表に一覧します。

指標名が青太字ならば本指標の方が影響力が強く、赤太字ならば本指標の方が影響力が弱い、と判定しています。
なお、指標名の後ろに⇅印がある指標は、数値減少を改善と見なしています。

この結果は、多くの人にとって経験的に受け入れられるでしょう。
金融政策関連の発表があるとき以外は、本指標のチャートへの影響が強いことがわかります。
ここに挙げた例外1回は、FRB議長会見(本指標2018年2月集計分発表時に開始)のときでした。

ともあれ、本指標より影響力が強い指標との同時発表時に本指標の反応方向を分析しても意味がありません。
よって、以降の反応に関わる分析は、上表赤太字指標と同時発表時を含まずに行うことにします。
すると、以降の反応に関わる分析対象は、対象期間の62回発表のうち61回の事例となります。


2.3 項目間影響力比較分析

項目間影響力比較分析では、ひとつの指標で複数の注目すべき指数(項目)が発表されるとき、各指数(項目)が反応方向に与える影響力の強さと方向を求めます
各指数が反応方向に与える影響力の強さは、事前差異判別式の解の符号が直前10-1分足と、事後差異判別式の解の符号が直後1分足と、実態差異判別式の解の符号が直後11分足と、方向一致率が高くなるように判別式の各係数を求めます。
判別式の係数の値の大きさと符号が、各指数が反応方向に与える影響力の強さと見なせます。

さて、本指標の分析対象項目は、景況指数価格指数・雇用指数新規受注指数、でした。
まず先に、2.2項結論に基づく61回の事例について、各項目毎の差異判別式の解の符号とローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

次に、4項目全てを踏まえた各判別式を次のように立式します。

  • 差異判別式=A✕景況指数の差異+B✕価格指数の差異+C✕雇用指数の差異+D✕新規受注指数の差異
    但し、
    事前差異=市場予想ー前回結果
    事後差異=発表結果ー市場予想
    実態差異=発表結果ー前回結果(前回結果の修正が行われれば修正結果)

上式において、各判別式の係数と、各判別式の解の符号と各ローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

例えば、前記2.1項で用いた事後差異判別式は、

  • 事後差異判別式=7✕景況指数の差異+1✕価格指数の差異
    但し、事後差異=発表結果ー市場予想

です。


2.4 指標予想分析

指標予想分析は、あわよくば指標結果の良し悪しを発表前に予想し、あわよくば発表直後の反応方向を予想するための分析です

2.4.1 移動平均線分析

移動平均線分析は、指標推移のトレンド方向を根拠にした取引の勝ちやすさを定量化しています。

指標推移が上昇中/下降中の判定は、市場予想と発表結果の移動平均線の上下位置で行います。
発表結果の移動平均線が市場予想の移動平均線よりも上なら上昇中、発表結果の移動平均線が市場予想の移動平均線よりも下なら下降中、です。
そして、これら移動平均線がクロスした翌月以降に反応方向の検証を行っています。
指標推移が上昇中に指標発表直後の反応方向が陽線、下降中に陰線ならば、「仮説一致」と判定しています。
分析の方法論詳細はこちらを参照願います。

さて、2.1項で景況指数のグラフには、市場予想と発表結果とそれらの6回移動平均線を示しています。
2.3項に記した通り、景況指数発表結果が市場予想を上回れば直後1分足が陽線、下回れば陰線という方向一致率は、過去81%に達しています。
この移動平均線の上下関係と直後1分足の方向の分析結果を下表に示します。

結果、発表結果と市場予想の6回移動平均線がクロスした仮説一致率は53~57%でした。
実績が仮説を肯定するには、一致率がかなり不足しています。
結論、本指標は本分析の不適合事例です。

すなわち、景況指数のグラフを見ると、発表結果を市場予想が遅れて追従するように見えます。
それならば、指数が上昇基調のときは市場予想を上回ることが多くなって指標発表直後の反応方向は陽線となることが多くなりそうだし、指数が下降基調のときは市場予想を下回ることが多くなって指標発表直後の反応方向は陰線となることが多くなりそうな気がします。
がしかし、そんなことは起きていないことが判明しました。

なお、上表にて「翌月から」の「判定回数」は53回となっています。
理由要点を下表に示しておきます。


2.4.2 過大反動分析

過大反動分析は、過大反動を見込んだ取引の勝ちやすさを定量化しています

例えば、前月と前々月の指標発表結果に大きな差があったとき、当月はその差と逆方向に反動を起こすという予想がしっくりきます。
けれども、市場予想もこの反動を見込んでいるならば、その反動が市場予想を超えるほど大きくなるかに関心を絞るべきでしょう。
この「市場予想を超えるほど大きな反動」を「過大反動」と呼び、過大反動を見込んだときに指標発表直後に素直な方向に反応したならば「仮説一致」と判定しています。
分析の方法論等の詳細はこちらを参照願います。

さて、2.3項記載の実態差異判別式を用いて(景況指数単独の判別式ではありません)その解の絶対値を階層化したときの過大反動率と上記仮説一致率は下表の通りです。

結果、上表記載の通り、前月の実態差異判別式の解がどうあれ、過大反動を起こしにくいことがわかります(上表「過大反動率」参照)。
但し、前月の実態差異判別式の解の絶対値が20超のとき、過大反動が起きると見込んで指標発表直前にポジションを取得すると、期待的中率は73%です(上表「仮説一致率」参照)。
「過大反動が起きると見込む」とは、前月実態差異判別式の解の符号と当月の直後1分足が方向不一致になることを見込む、ということです。
ご注意ください。

結論、本指標は本分析の有効事例です。

なお、上表にて「全数」の「判定回数」が58回となっています。
理由要点を下表に整理しておきます。


2.4.3 同期/連動指標分析

同期/連動指標分析は、分析対象指標と比較対象指標の上下動の一致率が高くなる時差を求め、その一致率が取引の参考たり得るかを定量判断するために行います。
上下動を調べるため、同期/連動指標分析には、ふたつの指標の実態差異判別式の解の符号の一致率を調べています。

さて、米国の製造業の景気指標には、本指標の他にNY連銀製造業景気指数Phil連銀製造業景気指数があります。
これらは同期もしくは連動していると推察されるため、他の指標における同期/連動型指標分析のように数か月も先行/遅行している可能性は排除できます。
下表をご覧ください。

最初の行は、NY連銀製造業景気指数本指標の実態差異判別式の解の符号の一致率を調べています(上表「指標分析」の「方向一致率」参照)。
結果、本指標の実態差異判別式の解の符号は、先に同月集計分が発表されるNY連銀製造業景気指数の同符号との一致率が53%しかありません。
それにも関わらず、本指標の実態差異判別式の解の符号が、同月集計分のNY連銀製造業景気指数の実態差異判別式の解の符号と同じになると見込み、本指標発表直後1分足の方向を決め打ちする場合を考えてみましょう。
この場合、同月集計分のNY連銀製造業景気指数の実態差異判別式の解の符号と本指標発表直後1分足の方向一致率が高い、と見込むことになります。
がしかし、それは53%でした(上表「反応分析」の「方向一致率」参照)。
すなわち、本指標発表直後の反応方向を予想するために、先に発表されたNY連銀製造業景気指数の前月に対する改善/悪化を参考にすべきではありません

同様に、Phil連銀製造業景気指数本指標の関係を調べてみると、指標分析の方向一致率は64%、反応分析の方向一致率は53%でした。

そして、NY連銀製造業景気指数Phil連銀製造業景気指数の実態差異判別式の解の符号が一致したとき、その符号と当月の本指標の実態差異判別式の解の符号の一致率は70%でした。
がしかし、反応分析の方向一致率(直後1分足との方向一致率)は56%でした。
更に、上表には記載していませんが、NY連銀製造業景気指数Phil連銀製造業景気指数の実態差異判別式の解の符号が一致したとき、その符号と本指標直前10-1分足・直前1分足との方向一致率は各52%・52%でした。

結論、

  • NY連銀製造業景気指数とPhil連銀製造業景気指数がともに前月より改善/悪化した集計月は、本指標の前月に対する改善/悪化も同じになりがち(期待的中率70%)
  • がしかし、本指標結果の良し悪しを上記関係に基づき高い確度で予想できても、本指標発表直後の反応方向を高い確度で予想することはできない(期待的中率56%)

です。

なお、上表において「指標分析」と「反応分析」の「判定回数」に違いがあるのは、後者が2.2項結論に基づき反応分析の機会が限られるためです。


Ⅲ. 反応分析

以下の反応分析の対象は、2.2項記載の61回で、毎年の対象数の内訳は下表の通りです。

2015年発表分のうち2014年12月集計分は、対象期間外のためカウントされていません。
2018年発表分のうち2018年2月集計分は、2.2項結論によりカウントされていません。
2019年発表分は、2020年2月集計分までのカウントとなっています。


3.1 反応分析対象

反応分析対象の直前10-1分足(左上)・直前1分足(左下)・直後1分足(右上)・直後11分足(右下)の各始値基準ローソク足を下図に示します。
下図において歯抜けとなっている月は、2.2項結論により反応分析から除外した月です。
こんな図を眺めても仕方ありませんが、分析対象開示のために示しておきます。

多くの主要国主要経済指標が2017年頃から反応が小さくなったものですが、本指標にはそうした様子が見受けられません。

指標発表後の反応は2019年から陰線が目立ちます。
2019年1月は、2.1項記載のように景況指数の下降転換がはっきり示され始めた時期にあたります。
但し、指標推移の上昇/下降基調は、2.4.1項結論に基づき今後の取引方針に影響を与えません。

過去の反応程度とその分布を一覧しておきます。

指標結果に最も素直に反応しがちな直後1分足順跳幅は過去平均で14pips、同値幅は過去平均で10pipsで、反応程度は中程度の指標です。

平均的には、直後11分足値幅が直後1分足順跳幅と同じになっています。
このことは、指標発表後に直ちに追撃開始しても勝ちやすいことを示唆しています。

また、指標発表後の順跳幅最大値の大きさには目を奪われます
市場環境次第では極端に大きな反応をしかねない点に注意が必要です。
但し、分布をみる限り、指標発表後の反応が過去平均値を超えるのは半数以下です。
指標発表後の直後1分足と直後11分足の順跳幅最大値は、過去平均値の3倍程度であり、珍しく大きく反応することがあっても、深追いは止めておきましょう。
初心者が指標発表後にしつこく追撃する癖がつくと、たまたま大きく勝つことがあっても、ほとんどの場合に損切となってしまいます。
反応の目安を過去平均値よりやや小さく見込んでおいて、過去平均値を超えたところで利確、直後1分足始値近くまで戻したら再び追撃して利確、という方法が良いでしょう。


3.2 利得分析

利得分析は、差異判別式の解の1単位当たり何pipsの反応が起きたかを、過去の実績から検証しています。

分析内訳として指標差異と反応程度の期間推移を以下に示します。

反応程度を指標差異で割った利得分析の結果を下図に示します。

事後差異判別式の解1ips毎の直後1分足値幅は過去平均で1.0pipsです。
指標差異は毎年ほぼ安定しているのに比べ、反応程度は大きくばらついています。
その結果、反応程度を指標差異で割った利得分析結果も年によってばらつきが大きくなっています。

ちなみに、FRBの金融政策は、2015年末に利上げを開始し、2017年以降に利上げペースを加速し、2019年に利下げへと転じています。
対象期間において、本指標の利得は金融政策転換前後に大きくなっています。


3.3 指標一致性分析

指標一致性分析は、差異判別式の解がローソク足の大きさや方向を示唆していないかを定量分析しています。

各判別式の解とローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

一見して、事後差異判別式の解に対する直後1分足値幅方向が一致しがちなことが読み取れます。
ただ、事後差異判別式の解が±10以内では、判別式の解の符号とローソク足値幅方向が不一致になることが多く、取引を控えた方が良いかも知れません。

次に、各差異判別式の解の符号と4本足各値幅方向の一致率を下図に纏めます。

事後差異と実態差異の判別式の解の符号と直後1分足の値幅方向の一致率が各83%・76%と高く、本指標発表直後はかなり素直に反応することがわかります。

さて、指標発表前に判別式の解がわかっているのは事前差異しかありません
2.2項以降、分析対象は61回分の発表でした。
この61回の事例について、事前差異判別式の解の絶対値を階層化し、その階層毎の解の符号と4本足チャート各ローソク足の方向一致性分析を行った結果を下図に示します。

本項分析結論は、

  • 事前差異判別式の解の絶対値が7.5超(過去平均値の1.5倍超)のとき、その解の符号と直前10-1分足値幅方向は同方向になりがち(場面発生頻度26%、期待的中率69~83%)
  • 事前差異判別式の解の絶対値が10.0超(過去平均値の2倍超)のとき、その解の符号と直後1分足と直後11分足の値幅方向は同方向になりがち(場面発生頻度10%、期待的中率83%)

です。


3.4 反応一致性分析

反応一致性分析は、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の大きさや方向を示唆していないかを定量分析しています。

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

直前10-1分足が関わる図(上左・上中)では相関係数(R^2値)が低く、どっちにどれだけ反応するかの相関が予測できません。
一方、直後1分足と直後11分足は相関係数が高く、回帰線の傾きも1を超えています。
直後1分足終値がついたら追撃を開始して直後1分足終値で決済すると、平均して直後1分足値幅の12%を利確できそうです。
がしかし、直後1分足値幅平均は10pips程度しかありません。

上図から反応程度を無視して、反応方向だけを問題にして図示しておきましょう。

さて次に、直前10-1分足は、指標発表前にローソク足が完成しています
2.2項以降、分析対象は61回分の発表でした。
それぞれの場合において、直前10-1分足との方向一致率を下図に示します。

本項分析結論は、

  • 直前10-1分足値幅が6.9pips超(過去平均値の約2倍超)のとき、直前1分足はそれと逆方向に反応しがち(場面発生頻度13%、期待的中率71%)
  • 直前10-1分足値幅の大小は、指標発表後に形成されるローソク足方向を示唆しない

です。


3.5 伸長性分析

伸長性分析は、指標発表1分後から反応を伸ばしがちだったか否かを定量分析しています。

下図をご覧ください。

直後1分足より直後11分足が同じ方向に伸びていたことは、順跳幅で61%、値幅で54%、でした。
この数字では自信をもって追撃なんて勧められません

さて、指標発表によって一方向に反応が伸びるときには、経験から言って最初の兆しは直後1分足順跳幅の大きさに現れがちです
そこで、直後1分足順跳幅を階層化し、階層毎に直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしがちか否かを検証します。

まず順跳幅方向です。

直後1分足順跳幅が14.1pips(過去平均値)を超えると、直後1分足順跳幅を超えて直後11分足順跳幅が反応を伸ばしがちです。
しかも、この条件を満たしたときに、直後1分足と直後11分足は反転したことがありません。

次に値幅方向です。

直後1分足順跳幅が28.2pips(過去平均値の2倍)を超えたら、直後1分足値幅を超えて直後11分足値幅が同じ方向に伸びがちです。
但し、それほど大きく直後1分足順跳幅が跳ねたことは過去5%しかありません。

本項分析結論は、

  • 直後1分足順跳幅が14.1pips(過去平均値)を超えたら直ちに追撃を開始し、直後11分足順跳幅での利確を狙うべき(場面発生頻度44%、期待的中率69%~100%)

です。


Ⅳ. 取引成績

分析記事は不定期に見直しを行っており、過去の分析成績と取引成績は下表の通りです。

上表「分析成績」は、取引方針の反応方向についてのみ判定を行い、反応程度についての判定は行っていません。
結果、分析成績・勝率・平均取引時間のいずれも悪くありません。

4訂後、予め事前方針を開示して事後検証を行った取引は次の通りです。

2019年11月集計分(2019年12月2日24:00発表)


関連リンク

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改訂履歴

4.0訂(2019年10月20日) 新書式反映
4.1訂(2020年3月30日) 2020年2月集計分までを反映、1.2項表を最新に更新、2.4.3項は分析方法を変更、3.1項に始値基準ローソク足を開示

以上

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