A(-1) 指標取引の予備知識(市場予想について)

本サイトは、経済指標発表前後の短期間について、各指標の特徴に応じた取引を勧めています。

この経済指標発表前後の取引(以下「指標取引」と略記)の最大の特徴は、指標発表直後の反応方向(チャートが動く方向)が、発表結果が市場予想を上回るか否かで決まりがちな点です。もちろん、指標結果が前回結果を上回るか否かによっても反応方向は決まります

指標発表前後の短期間の取引に関しては、これら前回結果・市場予想・発表結果の大小関係がとても重要です。

A(-1)-1  市場予想:コンセンサス予想というのが重要
A(-1)-2  チャートの動き:コンセンサスに基づく動き
A(-1)-3  典型的事例紹介:判別式導入による反応解釈


A(-1)-1  市場予想

主要経済指標は、金融機関やシンクタンクなどに属する専門家が予想値を個々に事前公表しています。そしてそれらを情報ベンダーが纏めた値を発表しています。特に、ロイターブルームバーグといった大手情報ベンダーの纏めた予想は、取引参加者への影響力が強く、「コンセンサス予想」あるいは単に「(市場の)コンセンサス」と呼ばれることもあります。多くのFX会社では、HPでこのコンセンサス(=consensus:総意、合意)としての「市場予想」を紹介しています。

例えば、ロイターは下表のように各指標の予測値(予想値)何人の平均値かを明示しています。

※1  上表は『ロイター. 東京外為市場ニュース. 「経済指標予測」, 2021年3月30日』を出典とし、その一部を抜粋・整頓した。赤が「市場予想」、橙が「調査母数」となる。

各FX会社が紹介する市場予想が全てロイターを参照している訳ではありません。また、上に挙げたロイターの予想値も、該指標発表時刻が迫るに従い調査母数が増加し、そのため予想値も変化します。そのため、この数値を引用しているFX会社の予想値は、最終的な予想値への改訂が発表時刻に間に合わず、事後に改訂されることも散見されます。結果、各FX会社の市場予想は、その参照先・参照時刻によって異なる値となっていることがあります。

A(-1)-2  チャートの動き

前述のコンセンサスとは「その値を中心に取引を考えるというコンセンサス」のことです。そして、コンセンサスなので、市場は指標発表前から織り込みを始めます。織り込みとは、例えば、ある指標の今回発表値が前回発表値よりも改善する(悪化する)と予想されているなら、発表に先立ってその指標国通貨が買われる(売られる)、といった現象です。

但し、こうした織り込みは、チャートへの影響力が強い指標でしか識別できません。例えば、各国中銀の政策変更が予想されている場合や米国雇用統計は、早いときには数日前から織り込みが始まる様子が見受けられることがあります。チャートへの影響力が強いこれら指標ですら「織り込みが行われつつある」感じを掴むことができても、残念ながら「いつから」「どれだけ」といったことを抽出・分析して法則化することは困難です。

ましてや、チャートへの影響力がそれほど強くない指標では、織り込みが行われたことを識別することは不可能です。ですが、そうしたチャートへの影響力が弱い指標でも発表時刻までに諸々の機会に織り込みが行われて発表時刻を迎える、と解釈した方が良いでしょう。なぜなら、チャートへの影響力の強弱に関わらず、その指標国通貨が買われるか売られるか(反応方向)は、市場予想(コンセンサス)を発表結果が上回ったか下回ったかに影響されることが多いからです。もし織り込みがなければ、その指標が発表されても何も反応が起きないか、反応方向が発表結果と前回結果の大小関係だけに影響されるはずです。

だから、指標発表後の反応は事前の織り込みの修正(実際の結果に基づく事前コンセンサスの修正)と見なせます。チャートへの影響力が強い指標では、発表直後に過度の修正が起きることが多く、数分遅れて本格的な修正が始まります。経験論から言えば、発表直後の修正は反射的に起き、本格的修正は数分から10数分後から主に現在の景気動向や金融・財政政策とチャートが整合するように起きる、と理解しておけばよいでしょう。

以上のように、指標発表前後の典型的なチャートの動きは、

事前の織り込み ⇨ 織り込みに対する反射的な修正 ⇨ 本格的修正

という順に起こることが多い、と理解しておきましょう。
これが、多くの指標取引の解説記事で「市場予想に注目せよ」と説いている理由です。

A(-1)-3  典型的事例紹介

こうした指標発表前後における織り込みとその修正というチャート現象から、

  • 市場予想ー前回結果(=事前差異判別式:市場予想が前回結果よりも大きいときは陽線を志向し、小さいときは陰線を志向する、と判別する)
  • 発表結果ー市場予想(=事後差異判別式:発表結果が市場予想よりも大きいときは陽線を志向し、小さいときは陰線を志向する、と判別する)

という2つの判別式が考案できます。

そして、市場予想がどうあれ、実際に指標結果が改善したか否かは

  • 発表結果ー前回結果(=実態差異判別式:発表結果が前回結果よりも大きいときは陽線を志向し、小さいときは陰線を志向する、と判別する)

という判別式で表せます。

このとき、事前差異・事後差異・実態差異の各判別式の解は、それぞれ指標発表前(直前10-1分足)・指標発表直後(直後1分足)・指標発表後(直後11分足)の方向に影響しがちなことがわかっています。

典型的な事例として、下図に2020年12月集計分米国NY連銀製造業景気指数を示します。

各判別式の解の符号の+は陽線、-は陰線、に対応しています。

上図事例では、各判別式の解の符号(+)(-)(-)が、対応ローソク足の方向(+)(-)(-)、と完全に一致しています(そういう事例を選びました)。このような関係を本サイトでは完全方向一致と呼びます。そして、きっと意味があるのでしょうが、経験的に方向一致が起きやすい時期と起きにくい時期というのがあります。

当然、指標取引は方向一致が起きやすいときに集中的に行い、起きにくいときは休む、というのが大事です。そうでなければ、指標取引は長期的に同じルールで継続することが大事になります。そうすれば、いずれ個々の取引での勝率が、上記の方向一致が起きる確率に収斂していくでしょう。本サイトは、その勝率を70%超に収斂させる方法論を提示しています。


本稿のまとめ
  • 指標取引において市場予想は重要
  • 市場予想はコンセンサスとも呼ばれ、指標発表前後のチャートの動きに影響を与える
  • コンセンサスを踏まえたルールに基づく指標取引を長期継続することで、指標取引の勝率が定以上に収斂する
  • 本サイトでは、指標取引での勝率を長期的に70%超に収斂する方法論を示している

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以上

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