Ap.1-07 分析の成績

このサイトで紹介する個々の指標分析記事結論は、過去傾向に基づく取引方針です。
この取引方針の的中率と、取引方針に従って行った実際の取引の勝率を採点します。

例えば、個々の取引方針は「指標発表直前に買ポジションを取得し、発表後1分以内にポジションを解消」といった具合に示します。
この例では直後1分足が最終的に陽線なら、もし陰線側に大きなヒゲが発生して、指標発表から59秒後に陽線に転じても的中と判定します。
がしかし、実際にはそんな場合は損切するのが自然で利確は難しい、と考えられます。
ここでの分析は、勝ちやすい方法が示されていない限り無意味です。
だから、未来分析を客観的に評価するためには、最終的に分析通りになったか否か(的中率)と、実際の取引でその通りにして勝てたか否か(勝率)の両面から評価することが大切です。

もし的中率よりも勝率が低くその差が大きいならば、分析結果が不十分ないしは間違っているか、その分析結果を活かした取引方針になっていないのです。
そうなっていないことの検証結果を、以下、

7.1  成績集計の前提
7.2  分析的中率
7.3  取引での勝率

の順に開示します。


7-1  成績集計の前提

このサイトで紹介する個々の経済指標分析記事の結論は取引方針です。

取引方針は、① 直前10-1分足形成中、② 直前1分足形成中、③ 指標発表直前から直後の間、④ 指標発表数秒後以降の短期間、⑤ 指標発表から1分前後経過以降の数分間、の各期間毎に、期待的中率(過去のパターンの再現率)が高いときだけ挙げています。

この取引方針に対して実際の反応がどうだったかを、事前分析の的中率(分析的中率)として採点しています。


但し、この分析的中率は反応方向の予想を採点し、反応程度については採点していません

その理由は、同じ指標の発表でも、毎回、チャート上のテクニカルポイント(レジスタンスやサポートなど)との位置関係が違うことが問題なのです。
例えば、強いレジスタンスで陽線の頭が押さえ込まれても、陽線は陽線として方向を採点できます。
けれども、そのような場合、反応程度は頭を押さえ込まれて過去の平均pipsほど伸びなくなります。

結果、事前分析は反応方向の予想を採点できても反応程度については事前に予想できないので採点できません
ちなみに、もし反応程度を事前に予想し、その予想結果を採点するためには、チャート上のテクニカルポイントの強さを数値化する必要があるでしょう。
そして、個々の指標発表毎にそのときのチャート上のテクニカルポイントを、突破もしくは跳ね返る確率を求める方法を考えなければいけません。
ちょっと私にはハードルが高い課題です。


ともあれ「どれだけ事前分析で予想した方向が当たったのか」の検証結果を示すのが本稿テーマです。

検証対象期間は、2018年9月~2019年8月の1年間です。

この間に発表された無数の指標のうち、指標発表に先立って取引方針を公開していたときだけ検証しています。
その検証数は延べ173指標での673取引方針でした。
この数は統計的傾向を導くのに十分です。

そして、この637件の事前公開記事と、それらの記事の結果検証の追記は、分析結果が外れていたときも含め、全てこちらに開示しています。


7-2  分析的中率

結果を下表に示します。

上表において、月によって対象指標数がばらついているのは、私の本当の仕事が多忙な時期かどうかのせいです。
指標発表に先立って取引方針を公開するには、それなりの分析時間が指標発表日までに必要です。
そして、事前に取引方針を公開するぐらい時間のあるときしか、結果検証が行えません。

また上表では、取引方針が妥当だった回数を「〇」、妥当ではなかった回数を「✕」、と集計しています。
取引の前提を満たさなかった等の理由で取引を中止したときを「前提不成立等」に集計しています。
「判定方針数」から「前提不成立等」数を引くと「判定数」になります。

そして、取引方針が何%採用できたか(方針採用率)と、採用した取引方針のうち何%が「〇」だったか(分析的中率)、を纏めました。
結果、方針採用率は66%、分析的中率は70%、で悪くありません

結論は、個々の指標毎に過去傾向を分析して得られた取引方針は、約3回に2回適用でき、そのうち約3回に2回以上的中する、です
これは、その時々の市場環境に関係なく、個々の指標の過去傾向のみに分析で得られた成績である点で、注目に値します。


7-3  取引での勝率

例えば、事前に挙げた取引方針が「指標発表直前にロングをオーダーし、発表直後の跳ねで決済」だったとします。
この方針は「指標発表〇秒前にポジションを取得するのか」「発表後〇秒もしくは〇pipsで決済するのか」を指定していない点で不完全です。
方向しか明確になっておらず、厳密な取引マニュアルではありません。

これは、反応方向は明確にできても、反応程度とタイミングは明確にできないのです。
残念ながら、反応程度とタイミングは、方針を読む人任せになっています。
そのため、取引方針の検証は、取引方針に沿ったときの勝率を気にせざるを得ません。

もともと取引方針は、過去パターンの再現率が根拠です。
確率に基づく以上、試行回数が多くなることは覚悟の上です。
そして、試行回数さえ多くなれば、条件に曖昧さ残していても、その曖昧ささえも確率に取り込めます。


下表は、事前に示した取引方針に基づく実際の取引での勝率を検証しています。
更に、その取引方針に基づかない取引(方針外取引)も含めた総合勝率も検証しています。
「勝ち」は利確できた取引、「負け」は損切となった取引のことです。

検証対象は、方針通りの取引が341回、方針外取引が96回です。
この数は統計的傾向を導くのに十分な回数と判断できます。
結果・結論は次の通りです。

  • 事前開示した方針に従ったときの勝率は74%でした。取引が少なかった月も含めて、月毎の勝率も高く保てていました。このことは、これまでの取引方針が適切だったことを示している、と判断できます。
  • 方針外取引も含めた総合勝率は77%でした。毎月の総合勝率は、毎月の方針通りの取引での勝率を上回っていました。このことは、取引方針を事前に準備していた場合、方針外のことが起きても適切に対処しやすくなることを示唆しています。

悪い勝率ではありません

なお、方針外取引の多くは、直前10-1分足で勢いがあるときの便乗と、取引時間の延長です。
取引時間延長とは、例えば「直後1分足終値までに決済」といった方針に対し、その後も暫くポジションを保有したり、指標発表20分以内に新たなポジションを取得した場合です。


分析対象期間を過ぎてからの成績を含めた理由を補足します。

指標発表前後の数分間は、どの指標であれ過去の傾向通りの分析が起きがちです。
だから、過去傾向に基づく取引方針に沿って取引します。
その勝率は上表記載の通り74%でした。

そして、指標発表から数分後から10数分後は、レジスタンスラインやサポートライン付近でチャートが動いている場面が頻出します。
その結果、いわゆるチャートパターン分析のブレイク狙いが適用できる場面が頻出します。
けれども、そのレジスタンスラインやサポートラインは、事前に不明で分析に含めることができません(取引方針に含むことができません)。
よって、方針外取引になってしまうものの、指標取引のついでにブレイクやブレイク阻止で稼ぐには絶好の機会です。

但し、チャートパターン分析に馴れていないと、狙う場面そのものがわかりません。
馴れれば圧倒的に高い勝率と、指標取引並みに時間効率の良い取引ができるため、参考までに次稿にそのブレイク狙いを紹介しておきます。
なお、本稿調査で方針外取引の半数以上がブレイク狙いの追撃とブレイク阻止の逆張りで、それらも含めた方針外取引だけの勝率は91%でした。

指標取引で安定して勝てるようになったら、次はブレイク狙いの追撃やブレイク阻止の逆張りで勝てるようになることを目指しましょう。


本稿のまとめ
  • 過去傾向に基づく取引方針は、タイミングや決済値幅に裁量範囲を残すものの、忠実に履行
  • 取引方針の成績は、分析的中率が70%、取引勝率が74%
  • この分析的中率や取引勝率は、個々の指標発表時の市場環境など関係なく、過去のパターンの再現率だけに基づく取引方針に依るため、豊富な経験も的確な相場観も必要ない

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以上

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