6 反応分析の方法

原因があってチャートが動くことを反応と呼び、指標発表前後にチャートが動く方向を指標への反応方向、チャートが動く大きさを指標への反応程度、と呼んでいます。
反応分析は、ローソク足の方向を、判別式の解や別のローソク足の方向から予想する分析です。
残念ながら、反応程度はばらつきが大きく参考にしかなりません。

反応分析は、分析対象期間の全ての事例を扱う訳ではありません
指標間影響力比較分析の結果に基づき、対象指標が過去に他の指標と同時発表されたとき、対象指標のチャートへの影響力が支配的だったと判断される場合だけを分析対象としています。

反応分析は、以下の順に定型的に行います。

  • 反応程度過去集計結果4本足チャート各ローソク足の平均反応程度・一足内反転率・過去順跳幅分布・過去値幅分布を一覧化します。先述の通り、同じ指標でも反応程度にはばらつきが大きく、取引上の参考にすることが難しい、というのが実情です。但し、ほぼ全ての指標は、過去平均値の2倍を超えて反応を伸ばすことが稀です(10%に達しない)。だから、過去平均値の2倍というpipsは「そこまでは反応が伸びない」と予め深追いを避ける目安になります。
  • 利得分析=各判別式の解の大きさと各ローソク足値幅を求め、後者を前者で割った判別式の解の1単位当たりの反応の大きさを「利得」と呼びます。ボラティリティやその指標への市場の関心は、それぞれ高くなったり低くなったりしています。この分析は、最近の利得が以前よりも高いか低いかを知っておくために行います。
  • 指標一致性分析=各判別式の解の符号と各ローソク足値幅方向の一致率を分析します。ほとんどの指標は、事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率を除けば、あまり高い数値になっていません。けれども、事前差異判別式の解の大きさを階層化し、階層毎の事前差異判別式の解の符号と各ローソク足の方向一致率を求めると、一部の指標では事前差異判別式の解の符号とどれかのローソク足の方向一致率が高い場合が見つかることがあります。市場予想が控え目すぎたり大げさすぎる傾向がある指標は、そうやって洗い出すことができる、と考えています。
  • 反応一致性分析=各ローソク足同士の値幅方向を対比分析します。ほとんどの指標は、直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あまり高い数値になっていません。けれども、直前10-1分足の大きさを階層化し、階層毎の直前10-1分足と他のローソク足の方向一致率を求めると、一部の指標では直前10-1分足の方向がその後に形成されるローソク足の方向を示唆している場合が見つかることがあります。市場の多数もしくは主な参加者が事前に指標発表後の反応方向を正しく予想しやすい指標は、そうやって洗い出すことができる、と考えています。
  • 伸長性分析=指標発表後の反応の伸びを分析します。この分析は、直後1分足と直後11分足の順跳幅と値幅をそれぞれ比べます。例えば、順跳幅同士を比べて一方向に反応を伸ばしがちなら、指標発表直後に直ちに追撃すべきです。けれども、指標発表直後こそ大きく跳ねても、ひとまず戻してからゆっくり伸びる指標も多くあります。そのため、直後1分足順跳幅を階層化し、階層毎に直後1分足と直後11分足の順跳幅と値幅の大きさの比較も行います。

以下、順に説明します。


6.1  反応程度過去集計結果

反応程度過去集計結果は、4本足チャートにおける各ローソク足の順跳幅と値幅の過去平均値と、1足内反転率と、各ローソク足の程度分布を集計しています。

例えば下表事例をご覧ください。

上表は、ある期間の米国NY連銀製造業景気指数のうち、米国CPI・PPI・小売売上高・金融関連会見時刻と同時に行われなかったときの反応程度を集計したものです。

そもそも、対象指標がそれよりも影響力が強い指標と同時発表されるときは、取引すべきではありません。
対象指標より影響力が強い指標と同時発表されるなら、影響力が強い指標の特徴に基づき取引すべきです。
そして、対象指標の反応程度は、それより影響力が強い指標と同時発表されたとき、反応程度が大きく集計されてしまいます。
ならば「正常な」NY連銀製造業景気指数の反応程度を知りたければ、NY連銀製造業景気指数とそれより影響力が強い指標との同時発表時を除いて集計しないと、分析の意味がないのです。

同時発表指標の影響力の強弱については、指標間影響力比較分析の項を参照願います。


順跳幅とは値幅方向の跳幅を指しています。
跳幅は、必ずしも順跳幅が逆跳幅よりも大きくなるとは限りません。
けれども、このサイトで分析している指標は全て、順跳幅が逆跳幅よりも大きくなることの方が、逆跳幅が順跳幅よりも大きくなることよりも、圧倒的に多いことがわかっています。
参考までに、分析対象期間内に逆跳幅が順跳幅よりも大きくなった比率を、1足内反転率として示しています。

分布は、過去平均値の「0.5倍以下」「0.5倍超1倍以下」「1倍超1.5倍以下」「1.5倍超2倍以下」「2倍超」の5段階に階層化しています。
分布は、利確/損切の目安としての用途があります
直後1分足順跳幅値幅直後11分足順跳幅は、予め目安を得ておいた方が良いでしょう。

ちなみに、直後1分足順跳幅と値幅・直後11分足順跳幅は、多くの指標で「0.5倍超1倍以下」の頻度が高くなりがちです。
また「2倍超」が10%を超えていることや、「1.5倍超2倍以下」と「「2倍超」の合計が30%を超えている指標は稀です。
目安は、0.5~1倍程度にしておくと良いでしょう。


6.2  利得分析

利得分析は、判別式の解の大きさの1単位当たりローソク足値幅が何pips反応したか、期間毎(1年毎と全期間)に計量する分析です
なお、ここでの「利得」とはインプットに対するアウトプットの比を意味しており、投資用語ではありません。

下図は利得分析の結果紹介事例です。

上図は、2015年から2020年途中までのNY連銀製造業景気指数の利得分析結果です。
この図に示しているのは、各ローソク足値幅の毎年の平均値を求め、それを各判別式の解の大きさの毎年の平均値で割った値です。

利得分析は、他の指標と対比しても無意味です。
計算過程に含まれる判別式は、個々の指標毎に大きさが異なるためです。
この分析は、その指標がどれだけ敏感に反応するのかを、過去と最近で比べるために行います


6.3  指標一致性分析

直観的にも経験的にも「指標の良し悪しは反応程度や反応方向に影響する」と考えることは自然です。
そこで、前回結果と市場予想と発表結果(修正結果)の各差の大小が、4本足チャート各ローソク足の大きさや方向を示唆していないかを、過去に遡って調べます。
これが、指標が反応と一致しているかの分析(=指標一致性分析)です。

下図は、各判別式と各ローソク足の方向と程度を散布図に示しています。

次に、各判別式と各ローソク足の方向一致率を図示します。

そして、事前差異判別式の解を階層化し、階層毎に各ローソク足との方向一致率を図示します。

これら3つの図は、一次データの開示、全体像の単純化、傾向抽出のための階層化、の順に並べています。


6.4  反応一致性分析

4本足チャートにおいて、直前10-1分足と直前1分足は指標発表前、直後1分足と直後11分足は指標発表後、のローソク足です。
指標によっては、市場予想なんか関係なく、指標発表前のローソク足方向が指標発表後のローソク足方向を示唆しがちなものがあります。
これが、先に形成されたローソク足の方向が、後で形成されるローソク足の方向を示唆していないかの分析(=反応一致性分析)です。

結果は、最も早く形成される直前10-1分足の大きさ毎に階層化し、階層毎に後で形成されたローソク足との方向一致率を求めたグラフで示します。

ともあれ、反応一致性分析は、このように先に形成されたローソク足方向が、後で形成されるローソク足方向を示唆していないかを集計する分析です。


6-5  伸長性分析(旧「反応性分析」)

伸長性分析は、指標発表後の反応が一方向に伸び続ける確率を過去の実績から求めた分析です。

指標発表後の分析なので、直後1分足順跳幅の大きさ毎に階層化し、階層毎の直後1分足と直後11分足の大きさを比べます。

この図では、直後1分足順跳幅が大きいときほど、直後1分足値幅を超えて直後11分足値幅が反応を伸ばしていることがわかります。


本稿まとめ
  • 反応分析は、その指標が単独で発表されたときと、指標間影響力比較分析の結果に基づく対象指標の影響力が強いときが分析対象
  • 反応程度過去集計結果は、4本足チャート各ローソク足の平均反応程度・過去順跳幅分布・過去値幅分布を一覧化し、各差異判別式を導出
  • 利得分析は、各判別式の解の大きさと、4本足チャート各ローソク足値幅の年平均を対比分析し、指標のブレにどれだけ敏感に反応するのかを示す
  • 指標一致性分析は、各判別式の解の符号(方向)と、4本足チャート各ローソク足値幅方向の一致率を求めている
  • 反応一致性分析は、4本足チャート各ローソク足同士の値幅方向の一致率を求めている
  • 伸長性分析は、指標発表後の反応の伸びを分析

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以上

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