2 指標分類と反応

チャートが動く原因は、経済規模の変化に繋がること金融政策の変更に繋がることが大半を占めます。
そのため、それらを直接的・間接的・部分的に数値で示唆する指標変化には注目が集まります。

FXをやるなら、金融・経済・為替の知識を広く知っておいて損はないでしょう。
ときどき「(FXに)そんなものはいらない」と割り切る解説記事が見受けられます。
けれども、それはちょっと乱暴な割り切りです。

どんな分野であれ、最初に全体を広く知って、次に使える場面を選べるようになって、そして最後に応用できるようになったら、知識は強みを発揮します。
それにはまず、指標の種類毎に基本的な反応方向を押さえておきましょう。

本稿のテーマは、指標分類毎の基本的な反応方向の整理で、

2.1  指標分類
2.2  経済実態指標
2.3  政策参考指標

の順に紹介します。


2.1  指標分類

本サイトでは、

  • 経済実態指標=経済規模の変化を示す指標
  • 政策参考指標=金融政策の変更に繋がる指標

と分類しています。

指標には、それぞれ金融・経済・為替の理論に沿ったチャートへの影響(以下「反応」と記します)があります。
理論に沿った方向に反応することを「素直な反応」といいます。

さて、最初に記した通り、チャートが動く原因は、経済規模の変化に繋がることと金融政策の変更に繋がることが大半を占めています。
だから、基本的な指標分類反応方向の関係は、最も幅広く役立つ知識となります。


2.2  経済実態指標

形がないのに、なぜ「実体」経済と表記されるのでしょう。
ともあれ、以前のブログから「実態」と表記していたので、このサイトでもそれで通します。
ここは気にしないでください。

さて、経済実態指標には、成長指標収支指標消費指標販売指標生産指標などに分類できます。
そしてなぜか、住宅指標だけは消費・販売・建設をひとまとめにして独立して説明されることが多いようです。

それぞれ、素直な反応とは次の方向を指しています。

  • 規模指標=GDPの変化は成長率といい、成長は経済規模の拡大を意味します。規模拡大が事前想定より大きければその国の通貨が買われる反応、小さければ売られる反応が基本となります。市場規模が拡大中なら参入者が増えるので資金が集まり、市場規模が縮小中なら離脱者が増えて資金が逃げる、と理解できます。
  • 収支指標=国際収支の黒字は、その国の経済規模拡大に寄与します。よって、事前想定よりも黒字が大きいか赤字が小さければその国の通貨が買われる反応、その逆は売られる反応が基本となります。多くの国では、国際収支の変化に占める貿易収支の変化の割合が大きいため、貿易収支に注目が集まります。
  • 消費指標=消費拡大は成長に寄与します。よって、事前想定よりも消費が大きければその国の通貨が買われる反応、その逆は売られる反応が基本となります。
  • 販売指標=売上高や受注の増加は成長に寄与します。よって、事前想定よりも売上が大きければその国の通貨が買われる反応、その逆は売られる反応が基本となります。
  • 生産指標=生産高や産出高や受注の増加は成長に寄与します。それらが事前想定よりも大きければその国の通貨が買われる反応、その逆は売られる反応が基本となります。

ここで、事前想定とは「市場予想」のことだと思っていれば良いでしょう。

主要国(米欧英豪)の主要経済実態指標を下表に纏めておきます。


2.3  政策参考指標

政策参考指標は、景気指標物価指標雇用指標、と、政策指標に分類できます。

素直な反応方向は次のように整理できます。

  • 物価指標=インフレ目標を採用している中銀は多いものの、実はそんなことをあまり気にしなくても構いません。過度なインフレは起きにくくなっています。値上げしても売れて規模拡大に寄与するので、事前想定より上昇していたらその国の通貨が買われる反応、その逆は売られる反応が基本となります。但し、過度なインフレを起こしているときは違います。値上げによって消費が減るなら、事前想定より上昇していたらその国の通貨は売らてしまいます。
  • 雇用指標=主要国中銀は失業率低下や雇用増を目指しています。事前想定以上の雇用改善はその国の通貨が買われる反応、その逆は売られる反応が基本です。最近では、消費拡大や縮小に繋がる賃金にも注目が集まるようになりました。賃金上昇は、消費拡大を通じて物価上昇に繋がるのでその国の通貨が買われる反応、その逆は売られる反応が基本です。解釈の鍵は、その国全体の購買力向上に繋がるか否かです。
  • 景気指標=景気指標は、個々の事業や家計の改善や悪化をアンケート集計し、世間全体の景気の拡大や縮小を予想します。景気の良し悪しは、投資や消費や雇用や所得に繋がるので、事前想定よりも良ければその国の通貨が買われる反応、悪ければ売られる反応が基本となります。

各国中銀は、過去の集計値の経済実態指標だけでなく、今後の経済実態の変化を予想するため、政策参考指標を踏まえて金融政策を決定します。
けれども、金利水準の変更方向だけで素直な反応方向は判断できません。

  • 政策指標=政策転換期の利上げ示唆はその国の通貨が買われる反応、利下げ示唆は売られる反応が基本です。政策転換期以外(利上げや利下げが続いている場合など)の反応はわからない、というのが現実です。政策には「緩和」と「引締」があり、政策が規模拡大に効果的か否かや持続可能か否かを市場が評価し、反応方向が決まります。

主要国(米欧英豪)の主要政策参考指標を下表に纏めておきます。


本稿のまとめ
  • 指標発表直後は、発表結果の良し悪しに素直に反応しがち
  • 指標発表前後の取引を行う準備に、指標分類と素直な反応方向だけは押さえておいた方が良い
  • 指標は経済実態指標と政策参考指標に大別でき、分類によって各指標の素直な反応方向を理解しやすくなる

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