独国景気指標「Ifo企業景況指数」発表前後のEURJPY反応分析

Ifo企業景況指数※1」は、ZEW企業景況感調査PMI速報値よりも発表日が後になります。そして、同月集計分のZEW現況指数と総合PMI速報値がともに前回結果(改定値)を上回ったとき、本指標発表直後の反応は陽線(下回ったとき陰線)になりがちです。発表後は初期反応方向に直ちに追撃開始すべきですが、直後1分足順跳幅が15.3pips超のときは直後11分足形成中に逆張りの機会を窺った方が良さそうです。

※1  Ifo統計名は「ifo Geschäftsklima(事業環境)」。本稿では馴染のある「企業景況指数」に呼称を統一、但し、業種別の業況判断に注目する場合は業況指数とも呼ばれる。IFOは「Information & Forschung(情報と研究)」の略語。

Ⅰ. 分析要点
1.1  概要
発表機関
IFO経済研究所※2(Ifo Institute for Economic Research)
発表日時
当月下旬17:00(冬時間18:00=現地時間10:00)
発表内容
独国企業による景況感※3発表事例※4
反応傾向

  • 注目内容=「景況指数」「期待指数」「現況指数」の総合的な対予想乖離
  • 反応程度=小さい(直後1分足値幅の過去平均値6.0pips
  • 反応方向=非常に素直(事後差異の全体判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率86%
  • 伸長特性=指標発表後、初期反応方向に追撃し、そのポジションが直後1分足値幅方向だったら直後11分足順跳幅での利確を狙う
補足説明

  • 反応程度は年平均するとかなり安定している(3.3項参照)
  • EU指標金融関連と同時発表があるときは、本指標での取引を控えた方が良い(3.1項参照)
  • 同月集計分のZEW現況指数と総合PMI速報値の実態差異判別式の解の符号が一致したとき、本指標直後1分足方向はその符号に一致しがち(4.6.3項参照)

※2  独国の非営利公的研究機関。1949年設立。所在はミュンヘン。経済・社会調査・政策研究を行う。

※3  回答者は製造業・サービス業・建設業・卸売業、小売業の約9,000社(回答率は不明)。ZEW企業景況感調査が金融関係者中心の調査に対し、本指標は各種企業に幅広く調査を行っている点で、独国経済の実態を正確に示すと言われる。質問は、生産・在庫・受注・価格・雇用に分かれる。現況指数は、現在の自社状況について「良い/満足できる/悪い」からの3択回答において「良い」と「悪い」の比率差に基づく。期待指数は今後半年間の見通しについて「改善/変化なし/悪化」からの3択回答における「改善」と「悪化」の比率差に基づく。各指数は、現在、2015年の値を基準(100)として換算される。調査は上旬から中旬にかけて行われている模様。

※4  通例、IFO発表画面1頁目中段のグラフに「ifo Geschäftsklima」「Beurteilung der Geschäftslage」「Geschäftserwartungen」が図示され、数値はその下の表に記載されている。指数は「Beurteilung der Geschäftslage (現況分析:本稿では馴染のある「現況指数」に呼称を統一)」と「Geschäftserwartungen (事業予測:本稿では馴染のある「期待指数」に呼称を統一)」があり、その加重平均が「ifo Geschäftsklima(本稿では馴染のある「景況指数」に呼称を統一)」。本指標は鉱工業生産との関連性が高いとされ、ZEW独国企業景況感指数より1か月程遅行する、と言われる。

1.2  結論

次節以降のデータに基づき、本指標での過去傾向に基づく取引方針例を下表に示します。

※5  上表において、事後判定対象は反応方向のみ。参考pipsは過去の平均値や中央値やそれらの差。利確や損切の最適pipsは、その時々のボラティリティ、トレンド状態、レジスタンス/サポートとの位置関係によって大きく異なるため、事前予想できず判定対象外。


Ⅱ. 分析対象

対象は、2015年1月集計分から2020年12月集計分までの独国Ifo企業景況感指数における

  • 景況指数(ifo Geschäftsklima値)」
  • 期待指数(Geschäftserwartungen値)」
  • 現況指数(Beurteilung der Geschäftslage値)」

の3指数です。

各指数の過去推移を下図に示します。
図の配置は、景況指数(左)・期待指数(右上)・現況指数(右下)、となっています。
なお、景況指数のグラフには、参考のため市場予想と発表結果の6回移動平均線軌跡も載せています。

※6  上グラフは分析データ開示のために載せており、本グラフを本指標発表毎に最新に更新していくことが本稿の目的ではない。発表結果統計値はグラフ記載範囲から計算。

まず、2018年4月集計分から新しい集計方式が採用され、基準値も変更(2015年を100)されました。
各指数は過去に遡って修正されたため、上図は先に現在の発表画面のグラフと形が違います(2018年4月集計分の落差の有無とそれ以前の上下動の大きさ)。
上図には、以前の発表時点における市場予想・発表結果・修正結果をそのまま載せています

そして、どのグラフも市場予想が発表結果よりやや遅れているように見えます。
傾きがある部分をよく見ると、市場予想は前回発表結果付近になっていたことが多いようです。
つまり、市場予想と発表結果の移動平均線を用いれば、指標結果の良し悪しの予想的中率が高くなりそうな気がします。
がしかし、それは気のせいであり、そんなやり方はしない方が良いでしょう4.4項参照)

次に、対象期間における4本足チャート各始値基準ローソク足を下図に示します。
図の配置は、直前10-1分足(左上)・直前1分足(左下)・直後1分足(右上)・直後11分足(右下)、です。

※7 上図における歯抜け箇所は、本指標よりチャートへの影響力が強い指標との同時発表時(3.1項参照)と、チャートが入手できなかった2017年4月集計分と、指標集計方法と基準値が変更された2018年4月集計分、です。

多くの主要国指標で2018年頃から反応が小さくなっていますが、本指標に関してはそんなことが起きていないように見えます
また、直前10-1分足は5pipsあたり、直後11分足は10pipsあたりを利確/損切の目安にできそうです。

次に、上図の各始値基準ローソク足の統計値を示します。

※8 上表では反応分析対象外の月を集計していない。

指標結果の良し悪しに最も素直に反応しがちな直後1分足値幅の過去平均値は6.0pipsで、反応程度は小さい指標です。
直前10-1分足や直後11分足の順跳幅最大値はかなり大きいものの、過去平均の2倍を超えたことは7%以下で年1回もありません

そして、逆跳幅が順跳幅より大きかった1足内反転は、各ローソク足とも年1回程度しか起きていません。
後記4.1項に示す発表後反応方向の素直さを踏まえれば、利確/損切への耐力が小さすぎない限り「騙し」を警戒する必要はほとんどないでしょう。

分布を見ると、直前10-1分足順跳幅は過去平均値の0.5倍超1.5倍以下に77%が集中しています。
また、直後11分足順跳幅が過去平均値の0.5倍超1.5倍以下に64%に対し、同値幅は平均値以下に65%が収まっています。


Ⅲ. 指標分析

以下の指標分析の対象範囲は下表の通りです。

3指数とも毎回市場予想が行われ、ときどき前回結果の修正が行われています。

以下、3.1項は全発表事例に対して分析を行っています。
3.2項以降は「本指標よりチャートへの影響力が強い指標との同時発表時」と「チャートが入手できなかった2017年4月集計分」と「指標集計方法と基準値が変更された2018年4月集計分」を除いた58事例の分析を行っています

3.1  指標間影響力比較分析

対象期間に本指標と同時発表された指標と、影響力比較結果を下表に一覧します。

結果、EU指標金融関連と同時発表があるときは、本指標での取引を控えた方が良さそうです。
これらとの同時発表は対象期間に12回行われています。

3.2  項目間影響力分析

対象は、景況指数期待指数現況指数、でした。

それぞれの判別式は定義通り、

事前差異判別式=市場予想ー前回結果
事後差異判別式=発表結果ー市場予想
実態差異判別式=発表結果ー前回結果の修正値(但し、修正が行われなかった場合は前回結果)

です。
例えば、景況指数の発表結果と市場予想の差は「景況指数の事後差異判別式の解」と言います。

このとき、各判別式の解の符号とローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

判別式の解の符号と対応ローソク足の方向一致率は、どの指数も大差ありません。
こうした指標では、各指数の良し悪しやその程度がまちまちだったとき、どの指数が反応方向に影響するのかを見極めることが難しいものです。
そうした場合も想定して各項目のチャートへの影響力を求めるため、これら3指数による全体判別式を次のように立式します。

  • 全体判別式=A✕景況指数の差異+B✕期待指数の差異+C✕現況指数の差異
    但し、事前差異=市場予想ー前回結果、事後差異=発表結果ー市場予想、実態差異=発表結果ー前回結果の修正値

上式において、各判別式の係数と、各判別式の解の符号と対応ローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

※9  例えば、先に示した全体判別式の形式と上表から、本指標全体の事後差異判別式は、2✕景況指数の(発表結果ー市場予想)+1✕期待指数の(発表結果ー市場予想)+3✕現況指数の(発表結果ー市場予想)、となる。そして、上表はこの式の解の符号と直後1分足が過去86%方向一致と読む。

以上の通り、各判別式の係数を上表のように決めると、少なくとも過去の指標発表後のローソク足方向が説明できます
そして上表の係数から、指標発表10分前から発表1分後までは期待指数より現況指数の影響力がやや強く、発表後11分では期待指数の影響力がやや強い、ということがわかります。

参考までに、各判別式の解の統計値を下表に示しておきます。

上表から、景況指数の事後差異判別式の解は、前回の解+0.1±1.2、の範囲に過去70%弱が収まっています。

3.3  利得分析

分析内訳として指標差異(左上)と反応程度(左下)の期間推移と、分析結果として反応程度を指標差異で割った利得分析結果(右)を示します。

事後差異判別式の解1ips(Index Points)毎の直後1分足値幅は、過去平均で1.3pipsです。
コロナ禍に見舞われた2020年は各判別式が大きくなった一方、反応程度は2020年も含めて以前から安定しています。


Ⅳ. 反応分析

以下の反応分析の対象範囲は下表の通りです。

4.1  指標一致性分析

判別式の解と対応ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

※10  コロナ禍時期のドットは上グラフ外にある。

上3図のドット分布は、どれも回帰分析で反応程度を予想するような分布ではありません。

次に、上図から方向の情報だけを取り出します(上図外にあるコロナ禍時期のデータも反映)。

事後差異・実態差異判別式の解の符号と直後1分足・直後11分足の方向一致率は高く、本指標が素直な反応をすることがわかります。

さて、指標発表前に判別式の解がわかっているのは事前差異しかありません
そこで下図に、事前差異判別式の解の絶対値を階層化し、その階層毎に事前差異判別式の解の符号と各ローソク足の指標方向一致率を求めてみます。

結果、

  • 直前10-1分足は、事前差異判別式の解の絶対値が1.5超のとき、その解の符号と同方向になりがち(場面発生頻度17%、期待的中率67%)
  • 直前1分足は、事前差異判別式の解の絶対値が1.5超のとき、その解の符号と逆方向になりがち(場面発生頻度17%、期待的中率70%)

といった傾向があります。

市場予想の多寡が発表後の反応方向を強く示唆することはないようです。

4.2  反応一致性分析

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

上3図のドット分布は、どれも回帰分析で反応程度を予想するような分布ではありません。

次に、上図から方向の情報だけを取り出します。

指標発表前のローソク足方向が発表後のローソク足方向を強く示唆している兆しはありません。

さて、直前10-1分足は、指標発表前にローソク足が完成しており、それが大きいときにはその後のローソク足方向を示唆している可能性があります
下図は、直前10-1分足値幅を階層化し、その階層毎に直前10-1分足と直前1分足・直後1分足・直後11分足の値幅方向の一致率を纏めています。

結果、

  • 直前1分足は、直前10-1分足値幅が6.7pips超のとき、それとは逆方向になりがち(場面発生頻度22%、期待的中率67%)

といった傾向があります。

指標発表前のローソク足方向が発表後のローソク足方向を強く示唆することはないようです。

4.3  伸長性分析

前項に示した通り、直後1分足と直後11分足の方向一致率は80%です。
がしかし、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばすか削るのかはわかっていません。

下図をご覧ください。

結果、直後1分足よりも直後11分足の順跳幅が同方向に伸びたことは67%、値幅が同方向に伸びたことは47%でした。

この結果から、

  • 指標発表後、初期反応方向に追撃し、そのポジションが直後1分足値幅方向だったら直後11分足順跳幅での利確を狙うべき(場面発生頻度81%、期待的中率67%)
  • 上記ポジションが指標発表から1分後に含益をもっていたら強気で攻め、含損を持っていたら高値/安値掴みの可能性があり、直後1分足値幅方向の方向なら即時損切すべき

です。

さて、指標発表後の反応が一方向に伸びるときには、最初の兆しは直後1分足順跳幅の大きさ(伸びの強さ)に現れる場合があります
そこで、直後1分足順跳幅を階層化し、階層毎に直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしがちか否かを検証します。

まずは順跳幅方向です。

直後1分足順跳幅が大きいときほど、先述の方針の信頼感が高まる、という結果が読み取れます。

次に値幅方向です。

この結果は、

  • 直後1分足順跳幅が大きいときほど、初期反応方向への追撃ポジションの解消を急がないと、直後1分足値幅を削る可能性が高まる
  • 直後11分足順跳幅が15.3pips超(過去平均値超)に達したら、直後11分足順跳幅で逆張りし、直後1分足値幅を削るのを狙うべき(場面発生頻度33%、期待的中率67%)

ということを表しています。

4.4  移動平均線分析

3.2項に示した通り、本指標発表直後は景況指数に対して最も素直に反応していた実績があります。
そこで、本分析は景況指数に対して行います。

下図に、Ⅱ節の景況指数のグラフを再掲します(修正結果はここでは不要のため記載していません)。

先述の通り、2018年4月集計分は、集計方法と基準年の変更が行われたため、指標推移に落差が生じています。
この落差を含む移動平均値は意味がないので、それ以降6か月は本分析から除外しています。

さて、本分析は、市場予想と発表結果の6回移動平均線の上下位置によって、指標推移が上昇中か下降中かを判断します。
そこでまず「上昇中/下降中のときは、発表結果が市場予想を上回る/下回る」という仮説と実績の一致率を求めた結果を下表に示します。

結論は、指標推移が上昇中か下降中かを根拠に、当月の発表結果が市場予想を上回る/下回るか予想することはできない、です。
これが当たり前でなければ、市場予想の存在意義が問われます。
がしかし、専門家の事前解説においても(おそらく、アマチュア向けに細かな論拠を示すことが面倒な場合に)直近の上昇/下降基調を根拠にした論法が散見されます。

※11  具体的方法は次の通り。発表結果と市場予想の6回移動平均値(MA)が(発表結果MA>市場予想MA)もしくは(発表結果MA<市場予想MA)だったとする。そして「(発表結果MA>市場予想MA)だった翌月の発表結果は市場予想を上回る」か「(発表結果MA<市場予想MA)だった翌月の発表結果は市場予想を下回る」との仮説真偽を判定。

そして次に「指標推移が上昇中/下降中のときは、発表前後の反応が陽線/陰線になりがち」という仮説と実績との一致率を求めた結果を下表に示します。

結論は、指標推移が上昇中か下降中かを根拠に、当月の発表前後の反応方向を予想しても精度が十分でない、です。
ちなみに、本サイトでは全稿における取引根拠は期待的中率67%以上(3回に2回以上)を求めています。

※12  具体的方法は次の通り。発表結果と市場予想の6回移動平均値(MA)が(発表結果MA>市場予想MA)もしくは(発表結果MA<市場予想MA)だったとする。そして「(発表結果MA>市場予想MA)だった翌月発表時の直前10-1分足や直後1分足は陽線」か「発表結果MA<市場予想MA)だった翌月発表時の直前10-1分足や直後1分足は陰線」との仮説真偽を判定。

なお、1例として上表「直後1分足」「判定回数」は48回となっています。
その理由を下表に整理しておきます。

4.5  過大反動分析

本分析は全体判別式の解に対して行います。
なお、全体判別式の形式は3.2項に記した通りです。

前月の実態差異判別式の解の絶対値の大きさ毎に、当月の事後差異判別式の解の過大反動分析を行った結果を下表に示します。

※13 前月発表結果が前々回のそれより大きく乖離したとき、その逆方向に当月発表結果が市場予想を超えて反動を起こす、と仮説し、その通りになっていた場合は「仮説一致」と判定。処理は、前月の実態差異判別式の解の絶対値が大きいとき、当月の事後差異判別式の解の符号が前月と反転したか否かを判定する。

結果、前月の実態差異判別式の解の絶対値が8.7超のとき、本指標は過大反動を起こしにくい、と言えます(上表「仮説一致率」参照)。

次に、前月実態差異判別式の解の絶対値を階層化し、各階層毎に当月の直前10-1分足と直後1分足の反応方向を検証しておきます。

結果、

  • 直前10-1分足は、前月の実態差異判別式の解の大きさがどうあれ、反応方向はわからない
  • 直後1分足は、前月の実態差異判別式の解の大きさが11.6超のとき、その解の符号と同方向に反応しがち(場面発生頻度6%、期待的中率75%)

といった傾向がありました。

※14 当月の反応方向が前月実態差異判別式の解の符号と逆方向のときが「過大反動が起きたときの方向」。

なお、上表「全数」の「直後1分足」「判定回数」が56回となっています。
その理由を下表に整理しておきます。

4.6  同期/連動分析
4.6.1  独国ZEW企業景況感調査との対比

以下、本指標独国ZEW企業景況感調査単月毎の増減方向の同期/連動性を検証します。

まず、1例として両指標の現況指数の推移を下図に示します。

両指標期待指数の推移を見比べても、同じようなものです。
すなわち、2つの指標は大きな上昇/下降基調の時期が一致し、ピークとボトムの位置もほぼ同じ時期です。

次に、両指標の現況指数同士・期待指数同士の単月毎の増減一致率を下図に示します。

上図横軸は「本指標がZEW企業景況感調査よりも〇か月遅行/同期/先行」と読み、縦軸は「単月毎の増減方向一致率」を表しています。
ちなみに、両指標の調査時期はZEWがIfoよりも約半月先行実施されています。
ともあれ、結果は「現況指数にせよ期待指数にせよ、単月毎の増減方向はほぼ同期しているものの、増減方向の一致率はそれほど高くない」です。

そこで、上図において一致率がより高い現況指数について、ZEW現況指数と同じ月の本指標発表前後の反応方向を調べておきました。

本分析結論は「同月集計分が先に発表されるZEW現況指数の増減方向は、本指標発表前後の反応方向と関係ない」です。

4.6.2  独国PMI速報値との対比

以下、本指標独国PMI速報値の単月毎の増減方向の同期/連動性を検証します。

さて、本指標の期待指数現況指数景況指数(期待指数と現況指数の加重平均値)に対しPMI速報値製造業指数サービス業指数総合指数が発表されます。
そこで対比は、本指標景況指数PMI速報値の総合指数(以下「総合PMI速報値」と記す)で行うことにします。

まず、本指標景況指数総合PMI速報値の過去推移を下図に示します。

両指数は、大きな上昇/下降基調の時期やピークとボトムの位置こそ一致しているものの、単月毎の増減方向については違いがあるようです。
この単月毎の増減方向の一致/不一致を、数式処理して調べた結果を下図に示します。

上図横軸は「本指標がPMI速報値よりも〇か月遅行/同期/先行」と読み、縦軸は「単月毎の増減方向一致率」を表しています。
ちなみに、両指標の調査時期はPMI速報値がIFOよりも約半月先行実施されています。

上図では、5か月遅行の方向一致率が57%、4か月遅行と3か月先行の方向一致率がそれぞれ36%・34%となっています。
けれども、調査時期(約半月)や調査対象者(回答企業の業種)や予想時期(IFO景況指数には期待指数の良否が含まれる)の違いを踏まえても、景気良否の判断が上記の3~5か月ズレる合理的理由は思い付きません。
むしろ、上記34~57%という数字は、偶然の一致を含む誤差と考える方が合理的です。
ならば結論は「 両指数の単月毎の増減方向は、誤差に埋もれる程度の一致率しかない」です。

そういうことならば、先に発表されるPMI速報値が本指標取引に与える影響は、合理的なものではありません。
その影響を下表に調べておきました。

本分析結論は「同月集計分が先に発表されるPMI速報値の増減方向は、本指標発表前後の反応方向と関係ない」です。

4.6.3  ZEW企業景況感調査とPMI速報値の改善/悪化が一致したとき

いま、当月のZEW企業景況感調査とPMI速報値の改善/悪化が一致しているとします(ここでは、便宜的にZEW現況指数総合PMI速報値がそれぞれの指標を代表すると見なします)
このとき、両指標が一致して改善(1)/悪化(-1)だったとき、本指標発表前後が陽線(1)か陰線(-1)のどっちだったか、下表に検証しておきました。

結果、ある月のZEWもPMIも改善しているときは本指標も改善していることが多いだろうから、発表後の反応方向が素直なことに納得できます。


Ⅴ. 取引成績

分析記事は不定期に見直しを行っており、過去の分析成績と取引成績を検証します。

本稿は、初版と改訂版での成績不振に伴い、いくつか視点を変えて3訂しました。

※15 日付横に*印があるのは、4訂以降の結果。

※16 「分析成績」は、取引方針の反応方向についてのみ判定を行い、反応程度についての判定は行っていない。「分析適用率」と「分析的中率」は、都度の指標発表前に取引方針を開示していたときだけの成績を集計。「取引成績」は、指標発表直前・直後におけるスプレッド拡大、スリップ多発、注文不可などの影響を考慮してもなお、本稿取引方針が有効か否かを判断するため、実取引における分析適用時勝率。ここに挙げた実績は全て別サイトにて該日付もしくはその前日の投稿で事前に取引方針を開示。


関連リンク

➡ 欧州指標の目次に移動

改訂履歴

3訂(2018年8月26日)
4訂(2020年9月11日) 新書式反映、2020年8月集計分までを反映
4.1訂(2020年9月21日) 同期/連動分析を追加
4.2訂(2021年1月22日) 2020年12月集計分までを反映、同期/連動分析を改訂

以上

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です