豪州実態指標「建設許可件数」発表前後のAUDJPY反応分析

本指標※1は、2020年10月集計分(2020年12月発表)からは速報値が発表されています。本稿では同集計分から速報値の反応分析となっています。

直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同方向に伸びることが少なく、そのため安心して取引できる機会があまりない指標です。

※1 ABS統計名は「Building Approvals(建築認可)」。

Ⅰ. 分析要点
1.1  概要
発表機関
オーストラリア政府統計局(Australian Bureau of Statistics:ABS
発表日時
集計月初日から4~5週後10:30(夏時間09:30=現地時間11:30)
発表内容
民間所有建物の建築認可件数※2発表事例※3
反応傾向

  • 注目内容=「建設許可件数前月比」と「民間住宅建設許可件数前月比」の対予想乖離
  • 反応程度=かなり小さい(直後1分足値幅の過去平均値5.8pips
  • 反応方向=非常に素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率86%
  • 伸長特性=直後1分足順跳幅の絶対値が7.9pips超のとき追撃し、発表後1分を過ぎたら早めの決済を目指すべき
補足説明

  • 新規分析のため、まだ取引実績はない
  • 四半期輸入物価指数」「小売売上高」「企業売上総利益」「金融関連」との同時発表時に本指標で取引するのは避けた方が良い

※2 建設申請は、住宅・商業/工業施設の新築・増改築・補修に対して行われる。公的機関との契約による民間業者による建設申請への認可は含まれず、道路・橋・鉄道・土工などの建設も含まれない。新築に関しては、1万AUD以上の居住用建物か5万AUD以上の非居住用建物を集計。増改築・補修の集計定義は、本稿では確認できていない。発表値は季節調整済。

※3 発表画面最初の表には、「Total dwelling units approved建設許可件数)」と、その内訳にあたる「Private sector houses民間住宅建設許可件数)」「Private sector dwellings excluding houses(民間非住宅建設許可件数)」の件数・前月比・前年比が示される。発表画面における注目箇所をに示す。

1.2  結論

次節以降のデータに基づき、本指標での過去傾向に基づく取引方針例を下表に示します。
もちろん、下表方針に限らず、データからどのような傾向を見出すかは自由です。

※4  上表において、事後判定対象は反応方向のみ。参考pipsは過去の平均値や中央値やそれらの差。利確や損切の最適pipsは、その時々のボラティリティ、トレンド状態、レジスタンス/サポートとの位置関係によって大きく異なるため、事前予想できず判定対象外。


Ⅱ. 分析対象

本稿における分析対象指標は、2016年11月集計分から2020年11月集計分までの

  • 建設許可件数前月比Total dwelling units approved:以下「全数」と略記)
  • 民間住宅建設許可件数前月比(以下「Private sector houses:「住宅数」と略記)

です※5

※5 2020年12月時点において、例えば『Yahooファイナンス』では「Total dwelling units approved」前月比を「住宅許可件数」と表記している。がしかし、※3に示した表から明らかな通り、「Total dwelling units approved」には「Private sector dwellings excluding houses非住宅)」が含まれている。本稿では、これらを区別して混同を避けるため、以下それぞれ「全数」と「住宅数」と呼称する。

両指標の過去の推移を下図に示します。
下図の部分が本稿の分析対象期間で、「住宅数」の図には市場予想がありません。

※6  このグラフは分析データ開示のために載せており、グラフを本指標の発表毎に最新に更新していくことが本稿の目的ではない。
※7 発表結果統計値は、グラフ上全プロットから計算。

次に、対象期間における4本足チャート各始値基準ローソク足とそれら統計値を下図・下表に示します。
図の配置は、直前10-1分足(左上)・直前1分足(左下)・直後1分足(右上)・直後11分足(右下)となっています。

※8 上図において歯抜けとなっている月は、後記3.1項の指標間影響力比較分析結論による除外対象と、2020年4月・5月集計分※8。歯抜けとなっている集計月は反応分析対象外。
※9 2020年4月・5月集計分の発表は、それぞれ12:23・23:08に行われた。そのため、いつもの定時発表時とは異なる環境での反応と考えられる。

※10 反応分析対象外の月を集計していない。

指標結果の良し悪しに最も素直に反応しがちな直後1分足値幅の過去平均値は5.8pipsで、反応程度はかなり小さい指標です。但し、指標発表後の1足内反転率も小さいので、他の指標での取引に慣れているなら、予めゆっくりした取引を意識して指標発表に臨んだ方が良いでしょう。直後1分足が小さい以上、本指標での取引は直後11分足形成中の順跳幅を狙うべきであり、チャートの小さな上下動には動揺しないことです。


Ⅲ. 指標分析

以下の指標分析の対象範囲は下表の通りです。

先述の通り「住宅数」には市場予想がありません。そして、本指標の発表結果は翌月発表時によく修正されます。

※11 「修正結果有」の頻度は、最後の発表の修正有無が不明なため%算出の分母が(指標発表回数ー1)となっている。

3.1  指標間影響力比較分析

対象期間に本指標と同時発表された指標と、影響力比較結果を下表に一覧します。

他の指標が同時発表されるときに本指標で取引するには、過去の実績が本指標への反応の方が素直で、且つ、本指標事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率が67%以上の場合です。

すると、「四半期輸入物価指数」小売売上高企業売上総利益「金融関連」との同時発表時には、本指標で取引するのを避けた方が良さそうです。

これらのうち「小売売上高」と「金融関連」はさておき、「企業売上高総利益」や「四半期輸入物価指数」とは同時発表回数がまだ少なく、いずれ違う結論になるかも知れません。がしかし、現在の分析対象期間における実績では上記が結論です。

3.2  項目間影響力分析

分析指標は「全数」と「住宅数」のふたつです。それぞれの判別式は定義通り、

事前差異判別式=市場予想ー前回結果
事後差異判別式=発表結果ー市場予想
実態差異判別式=発表結果ー修正結果
但し、前回結果の修正が行われなかった場合には、上式「修正結果」を「前回結果」と読み替える

です。
このとき、各判別式の解の符号とローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

住宅数」には市場予想がないため、事前差異判別式と事後差異判別式はありません。

次に、全体判別式を次のように立式します。

  • 全体判別式=A✕「全数」の差異+B✕「住宅数」の差異
    但し、事前差異=市場予想ー前回結果、事後差異=発表結果ー市場予想、実態差異=発表結果ー前回修正結果(前回結果の修正が行われなかった場合には前回結果)

上式において、各判別式の係数と、各判別式の解の符号と各ローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

以上の通り各判別式の係数を決めれば、本指標発表後の反応方向を説明しやすいのです。

分析対象期間における各判別式の解の統計値を下表に纏めておきます。


Ⅳ. 反応分析

以下の反応分析の対象範囲は下表の通りです。

4.1  指標一致性分析

各判別式の解とローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

上3図はいずれも相関係数が小さく、回帰式で判別式の解から反応程度を予想することはできません。

次に、上図から方向だけの情報を取り出します。

事後差異・実態差異判別式の解の符号と直後1分足・直後11分足の方向一致率は高く、本指標が指標結果の良し悪しに素直な反応をすることがわかります。

さて、指標発表前に判別式の解がわかっているのは事前差異しかありません。そこで下図に、事前差異判別式の解の絶対値を階層化し、その階層毎に事前差異判別式の解の符号と各ローソク足の指標方向一致率を求めてみます。

結果、事前差異判別式の解の絶対値が30.0超のとき、その解の符号と直後1分足値幅方向が逆になりがち(場面発生頻度29%、期待的中率67%)です。

4.2  反応一致性分析

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

上3図は、回帰分析しても意味を持ちません。上右図は比例的なドット分布をしていますが、直後1分足値幅から直後11分足値幅を予想するには精度が低すぎます。

次に、上図から方向だけの情報を取り出します。

指標発表前のローソク足方向が発表後のローソク足方向を示唆しているようには見えません

さて、直前10-1分足は、指標発表前にローソク足が完成しており、その後のローソク足方向を示唆している可能性があります

結果、直前10-1分足値幅が一定の大きさを超えると、その値幅方向と直後11分足の方向一致率が高くなりがちなことがわかりました。

4.3  伸長性分析

前項に示した通り、直後1分足と直後11分足の方向一致率は81%です。がしかし、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばすか削るのかはわかっていません。

下図をご覧ください。

直後1分足よりも直後11分足の順跳幅が同方向に伸びたことは61%、値幅が同方向に伸びたことは47%でした。これらの数字では、追撃すべきか逆張りすべきかを判断できません。

そこで、指標発表後の反応が一方向に伸びるときには、最初の兆しは直後1分足順跳幅の大きさに現れる場合があることに注目します。直後1分足順跳幅を階層化し、階層毎に直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしがちか否かを検証します。

まずは順跳幅方向です。

次に値幅方向です。

結果、直後1分足順跳幅の絶対値が7.9pips超のとき、直後11分足順跳幅は直後1分足順跳幅よりも伸びる可能性が高い(場面発生頻度31%、期待的中率67%)です。注意すべき点は、直後1分足順跳幅がどうあれ、直後11分足値幅は直後1分足値幅を超えないことが多い点です。指標発表後追撃は短期に留めましょう。


Ⅴ. 取引成績

まだ取引実績はありません。


関連リンク

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改訂履歴

初版(2020年12月22日) 新書式反映、2017年8月から2020年10月集計分までを反映
1.1訂(2020年1月日) 2016年11月から2020年11月集計分までを反映

以上

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