豪州経済指標「四半期GDP」発表前後のAUDJPY反応分析

本稿は、豪州経済指標「四半期GDP※1」発表前後のAUDJPYの動きを分析し、過去傾向に基づく取引方針を纏めています。

本指標は、主要国主要指標において最も発表結果の良し悪しに素直に反応します。
そして、そのまま反応を伸ばしがちです。
だから、本指標での取引時には、利確/損切の目安を少し大きめに想定して臨んだ方が良いでしょう。

※1  ABS統計名は「Australian National Accounts: National Income, Expenditure and Product」頁における「Chain volume GDP and related measures」の「Seasonally adjusted, percentage change」を参照方。


Ⅰ. 分析結論
1.1  目次と要点
発表機関
オーストラリア政府統計局(Australian Bureau of Statistics:ABS※2
発表日時
翌四半期最終月の第1水曜日 10:30(夏時間 09:30、現地時間11:30)
発表内容
当該四半期の豪州のGDP・消費・投資・収入・貯蓄等※3発表事例※4
反応傾向

  • 注目内容=「四半期GDP前期比」と「四半期GDP前年同期比」の対予想乖離
  • 反応程度=大きい(直後1分足値幅の過去平均値 22.2pips
  • 反応方向=完全に素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率 100%※5
  • 伸長特性=直後1分足順跳幅が14.8pipsを超えるか、同終値がついたら追撃
補足説明

  • 同時発表指標があっても気にする必要はない

※2 オーストラリア政府統計局(ABS)は、オーストラリアの国家統計機関。ABSはウェブサイトを通じて統計と出版物を政府・商業・公共ユーザーに同時公開する(通常、キャンベラ時間午前11時30分)。

※3 関心のある前期比前年同期比は、通例、「Main features」の表の「GDP」の行の右端2つの数値。

※4 ABSのMedia Releaseはテキスト形式。巻頭に、そのSourceが示されているため、数値はそちらで確認した方が確実。

※5 本サイトでは、判別式の解が0の場合やローソク足値幅が0の場合を分析対象から除外している。ここでの100%とは、事後差異判別式の解が0のときと直後1分足値幅が0のときを除いた方向一致率を指す。


1.2  結論

次節以降では、本指標での過去データにのみ基づき、本指標発表前後の反応傾向を抽出しています。
その傾向に基づく取引方針が下表です。

※6  上表において、事後判定対象は反応方向のみ。参考pipsは過去の平均値や中央値やそれらの差。利確や損切の最適pipsは、その時々のボラティリティ、トレンド状態、レジスタンス/サポートとの位置関係によって大きく異なるため、事前予想できず判定対象外。本表の見方についてはこちらを参照方。


Ⅱ. 分析対象
2.1  対象範囲

本指標で分析対象とする指数は、

  • 四半期GDP前期比(以下「前期比」と略記)
  • 四半期GDP前年同期比(以下「前年比」と略記)

です。

本指標では、他にも「設備投資」・「連鎖価格指数」・「最終消費」等が発表されているものの、気にしなくても構いません。
後記3.2項に記す通り、本指標への反応方向は、前期比前年比で十分説明できます。

指標分析の対象回数は下表の通りです。

修正は翌期発表時にしばしば行われています。

次に、分析時期毎の反応分析の回数を下表に纏めておきます。
そして、下表には後記3.2項記載の判別式の解が 0 でない回数を纏めています。

対象期間 30回の発表のうち、判別式の解が0のときは分析対象外となります。


2.2  指標推移

対象期間における前期比(左)・前年比(右)の推移を下図に示します。

※7  このグラフは分析データ開示のために載せており、グラフを本指標の発表毎に最新に更新していくことが本サイトの目的ではない。

両指数の統計値を下表に示しておきます。

そして、各指数と全体の判別式の解の統計値を下表に示しておきます。


2.3  反応結果

対象期間における4本足チャート各ローソク足の各始値基準ローソク足を下図に示します。
図の配置は、直前10-1分足(左上)・直前1分足(左下)・直後1分足(右上)・直後11分足(右下)となっています。

直前10-1分足は陽線が目立ち、直前1分足は陰線が目立ちます。

上図における各ローソクの反応程度の統計値とその分布を下表に一覧します。

指標結果の良し悪しに最も素直に反応しがちな直後1分足値幅の過去平均値は 22.2pipsで、反応が大きい指標です。


Ⅲ. 指標分析

以下の各項タイトル分析名をクリックすると、各分析方法の詳細説明頁に移ります。


3.1  指標間影響力比較分析

対象期間に本指標と同時発表された指標と、影響力比較結果を下表に一覧します。

本指標結果の良し悪しはチャートへの影響力が強く、同時発表指標があっても気にする必要はないようです。


3.2  項目間影響力比較分析

分析対象が前月比だけなので、判別式は定義通りになります。

本指標の主たる発表指数は、前期比前年比、です。
それぞれの判別式は定義通り、

事前差異判別式=市場予想ー前回結果
事後差異判別式=発表結果ー市場予想
実態差異判別式=発表結果ー修正結果
但し、前回結果の修正が行われなかった場合には、上式「修正結果」を「前回結果」と読み替える

です。
このとき、各指数の判別式の解の符号とローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

驚くべきことに前期比にせよ前年比にせよ、事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向は、分析対象期間において 100% の方向一致率です。
これほど指標結果の良し悪しに素直に反応する指標は、主要国主要指標で他にありません。

次に、全体判別式を次のように立式します。

  • 全体判別式=A✕前期比の差異+B✕前年比の差異
    但し、事前差異=市場予想ー前回結果、事後差異=発表結果ー市場予想、実態差異=発表結果ー前回修正結果(前回結果の修正が行われなかった場合には前回結果)

上式において、各判別式の係数と、各判別式の解の符号と各ローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

事後差異判別式については、直後1分足との方向一致率が、前期比にせよ前年比にせよ単独でも方向一致率100%でした。
主要国主要指標において、こんなのは本指標だけです。

ともあれ、上式係数を上表のように決めると、過去の指標発表前後の反応方向がうまく説明できました。


3.3  利得分析

分析内訳として指標差異(左上)と反応程度(左下)の期間推移と、分析結果として反応程度を指標差異で割った利得分析結果(右)を示します。

事後差異判別式の解1ips(Index Points)毎の直後1分足値幅は、過去平均で17.3pipsです。


Ⅳ. 反応分析

以下、各項タイトルの分析名をクリックすると、各分析方法の詳細説明頁に移ります。


4.1  指標一致性分析

各判別式の解とローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

上中図の回帰線がドットの分布からずれているのは、図外にコロナ禍の時期の外れ値があるためです。

次に、各判別式の解の符号と4本足チャート各ローソク足値幅方向の一致率を下図に纏めておきます。

事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向は100%の一致率で、反応方向は発表結果の市場予想との乖離方向に完全に素直です。

さて、指標発表前に判別式の解がわかっているのは事前差異しかありません
そこで下図に、事前差異判別式の解の絶対値を階層化し、その階層毎に事前差異判別式の解の符号と各ローソク足の指標方向一致率を求めました。

結果、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が高く、他のローソク足との方向一致率が低いことがわかります。


4.2  反応一致性分析

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

上左図と上中図は分布が意味を持ちません。
上右図は比例的で近似式の係数が1.28なので、直後1分足値幅に対し直後11分足値幅は平均的に28%大きく、指標発表後も反応が伸び続ける傾向が窺えます。

そして、4本足チャート各ローソク足毎の方向率や、ローソク足同士の値幅方向の一致率を纏めた下図をご覧ください。

直後1分足と直後11分足の値幅方向の一致率は93%あるものの、直後1分足と直後11分足の始値は直前1分足終値で同一のため、それだけでは取引の根拠には不十分です。

さて、直前10-1分足は、指標発表前にローソク足が完成しており、その後のローソク足方向を示唆している可能性があります
対象事例について、直前10-1分足値幅を階層化し、その階層毎に反応方向一致性分析を行った結果を下図に示します。

結果、直前10-1分足値幅が6.4pips超のとき、その後に形成される直前1分足・直後1分足・直後11分足は直前10-1分足値幅方向と逆になりがちなことがわかります。


4.3  伸長性分析

前項に示した通り、直後1分足と直後11分足の方向一致率は93%です。
がしかし、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばすか削るのかはわかっていません。

下図をご覧ください。

直後1分足よりも直後11分足の順跳幅が同方向に伸びたことは63%、値幅が同方向に伸びたことは67%でした。

さて、指標発表によって一方向に反応が伸びるときには、経験から言って最初の兆しは直後1分足順跳幅の大きさに現れることがあります
そこで、直後1分足順跳幅を階層化し、階層毎に直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしがちか否かを検証します。

まずは順跳幅方向です。

次に値幅方向です。

直後1分足順跳幅が14.8pipsを超えたら直ちに追撃を開始し、直後1分足終値がついたらその値幅方向に追撃すべきです。


Ⅴ. 取引成績

分析記事は不定期に見直しを行っており、過去の分析成績と取引成績を検証します。

下表「分析成績」は、取引方針の反応方向についてのみ判定を行い、反応程度についての判定は行っていません。
そして当然のことながら、分析時点よりも過去に遡った分析的中率には意味がありません(最新の取引方針に示した期待的中率通りになってしまいます)。
よって、下表は事前に取引方針を開示したときの成績のみを集計しています。

結果、

  • 狙った発表事例(指標発表前に取引方針を開示)での分析的中率は82%実取引勝率は78%
  • 1発表当たりの平均獲得pipsは+2.73pips、同平均取引時間は4分35秒

です。

※8  実取引勝率には方針外取引の成績を含まない。ここに挙げた実績は全て、別サイトの該日付ないしはその前日の投稿で事前に取引方針を開示。


関連リンク

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改訂履歴

初版(2017年6月4日)
3訂(2019年1月1日)
4訂(2020年11月30) 新書式反映、2020年4-6月期集計分までを反映

以上

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