豪州雇用指標「四半期賃金指数」発表前後のAUDJPY反応分析

Ⅰ. 分析要点
1.1  概要

本指標「賃金指数※1」の分析対象数はまだ少なく、取引実績もありません。

指標発表前後の反応方向は、前回結果・市場予想・発表結果の大小関係に素直なものの、指標発表直後の反応が小さすぎるときは反応が伸び悩む傾向があります。
指標発表直後の反応が小さくて方向がわかりにくくても、直後11分足は比較的素直に反応を伸ばすため、取引にあたっては拙速を避けてきちんと発表結果を確認してから追撃した方が良いでしょう。

発表機関
オーストラリア政府統計局(Australian Bureau of Statistics:ABS
発表日時
集計期中間月第3金曜から3か月後の10:30(夏時間09:30=現地時間11:30)
発表内容
公的部門と民間企業の平均賃金を指数化※2発表事例※3
反応傾向

  • 注目内容=「賃金指数前期比」と「賃金指数前年同期比」の対予想乖離
  • 反応程度=かなり小さい(直後1分足値幅の過去平均値5.2pips
  • 反応方向=かなり素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率78%
  • 伸長特性=直後1分足順跳幅が一定以上のときのみ、直後11分足は直後1分足よりも値幅を伸ばしがち
補足説明

  • 新規分析のため、まだ取引実績はない(本稿はまだ取引実績に裏付けられた内容ではない)
  • 他の指標との同時発表は気にしなくても良い

※1 ABS統計名は「Wage Price Index(WPI)」。なお、本稿では指標分野を「雇用」にしているが、ABSでは「価格」に分類されている。
※2 本指数は、公的部門と民間企業の四半期平均賃金の変化を、2008-09を基準に指数化している。賃金には残業手当・賞与・各種手当を含まない。職種は、豪企業約3,000社の約18,000種の職種(含パートタイム)に対して実施。但し、農業・林業・漁業・個人事業主とその被雇用者・外国大使館・軍隊への被雇用者は除く。調査方法は、郵便及びオンラインアンケートで行われ、該四半期中間月第3金曜日までの最後の支払に関する回答に基づく
※3 発表画面最初の表の「Seasonally Adjusted(季節調整済)」の「Australia(全体)」の行の前期比と前年同期比が示される。発表画面における注目箇所をに示す。

1.2  結論

次節以降のデータに基づき、本指標での過去傾向に基づく取引方針例を下表に示します。

※4  上表において、事後判定対象は反応方向のみ。参考pipsは過去の平均値や中央値やそれらの差。利確や損切の最適pipsは、その時々のボラティリティ、トレンド状態、レジスタンス/サポートとの位置関係によって大きく異なるため、事前予想できず判定対象外。


Ⅱ. 分析対象

本稿における分析対象指数は、

  • 賃金指数前期比(以下「前期比」と略記)
  • 賃金指数前年同期比(以下「前年比」と略記)

のふたつです。

両指数の過去の推移を下図に示します。
下図の部分が本稿の分析対象期間です。

※5 グラフは分析データ開示のために載せており、グラフを本指標の発表毎に最新に更新していくことが本稿の目的ではない。発表結果統計値は、グラフ上全プロット(⇨より左側も含む)から計算。

参考までに少し古いデータですが、2014年の豪州全産業全職種の平均時給は38AUDです。
日本で時給3000JPYなんて、官庁・大企業の管理職にならないと超えないはずです。
豪州で外食等の他人のサービスを受けると高くつくのも当然です(生活費全体では日本とほぼ同じになるそうです)。

次に、対象期間における4本足チャート各始値基準ローソク足とそれら統計値を下図・下表に示します。
図の配置は、直前10-1分足(左上)・直前1分足(左下)・直後1分足(右上)・直後11分足(右下)となっています。

指標結果の良し悪しに最も素直に反応しがちな直後1分足値幅の過去平均値は5.2pipsで、反応程度はかなり小さい指標です。

直後1分足の順跳幅中央値は同平均よりかなり小さいものの、1足内反転率も小さいので、発表直後の反応方向ははっきりしている(フラフラしない)ようです。

直前10-1分足の分布は、順跳幅が平均の0.5倍超1.5倍以下の範囲に50%が属し、値幅が平均以下に62%が属することから、ヒゲを残しやすく、深追いを避けるべきことが窺えます。
指標発表後は、直後1分足・直後11分足の値幅が過去平均の0.5倍以下に各63%・56%属しており、取引の目安は各平均値よりもかなり小さく見込んでおいた方が良さそうです。


Ⅲ. 指標分析

以下の指標分析の対象範囲は下表の通りです。

※6 分析対象期間の最後の発表結果の修正有無は次期発表まで不明。そのため、%算出の分母は(指標発表回数ー1)となる。

前期比・前年比ともに市場予想は毎回あります。
そして、本指標の発表結果はときどき翌期発表時に修正されています。

3.1  指標間影響力比較分析

対象期間に本指標と同時発表された指標との影響力比較結果を下表に一覧します。

これまでのところ、同時発表指標のことは気にしなくても良いようです。

3.2  項目間影響力比較分析

分析指標は「前期比」と「前年比」です。
それぞれの判別式は定義通り、

事前差異判別式=市場予想ー前回結果
事後差異判別式=発表結果ー市場予想
実態差異判別式=発表結果ー修正結果
但し、前回結果の修正が行われなかった場合には、上式「修正結果」を「前回結果」と読み替える

です。
このとき、指標毎の判別式の解の符号とローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

次に、全体判別式を次のように立式します。

  • 全体判別式=A✕「前期比」の差異+B✕「前年比」の差異
    但し、事前差異=市場予想ー前回結果、事後差異=発表結果ー市場予想、実態差異=発表結果ー前回修正結果(前回結果の修正が行われなかった場合には前回結果)

上式において、各判別式の係数と、各判別式の解の符号と各ローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

例えば、先の全体判別式の形式と上表から、本指標の事後差異判別式は、

2✕「前期比」の(発表結果ー市場予想)ー1✕「前年比」の(発表結果ー市場予想)

となり、この式の解の符号と直後1分足は、過去78%の方向一致率となっています。
つまり、以上の通り各判別式の係数を決めれば、本指標発表前後の反応方向を説明しやすいのです。

参考までに、分析対象期間における各判別式の解の統計値を下表に纏めておきます。


Ⅳ. 反応分析

以下の反応分析の対象範囲は下表の通りです。

4.1  指標一致性分析

各判別式の解とローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

上3図はいずれも相関係数が小さく、判別式の解から回帰式で反応程度を予想することはできません

次に、各判別式の解の符号と4本足チャート各ローソク足値幅方向の一致率を下図に纏めておきます。
これは、上図から方向に関する情報のみを取り出していることになります。

上左図からは市場予想が高めになっているが多いことがわかります。
また、上右図からは事前差異判別式の解の符号と直後1分足が逆方向になりがちです。

4.2  反応一致性分析

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

上左図と上中図は回帰式が意味をもっていません。
上右図からは、直後1分足に対し直後11分足の方向相関が強く、しかも直後11分足は直後1分足よりも値幅を伸ばしがちなことがわかります。

次に、4本足チャート各ローソク足毎の方向率や、ローソク足同士の値幅方向の一致率を纏めた下図をご覧ください。

先の回帰分析結果の「直後1分足に対し直後11分足の方向相関が強く、しかも直後11分足は直後1分足よりも値幅を伸ばしがち」に反して、直後1分足と直後11分足の方向一致率は44%しかありません。
これは回帰分析のドット分布から明らかなように、直後1分足値幅が小さいときに直後11分足との方向一致率が低いためです。

4.3  伸長性分析

前項に示した通り、直後1分足と直後11分足の方向一致率は 44% しかありません。

まず、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばすか削るのか、全対象事例で分析します。

結果、直後1分足よりも直後11分足の順跳幅が同方向に伸びたことは38%、値幅が同方向に伸びたことは44%でした。
これらの数字ではとても追撃などできず、かと言って逆張りするにせよ中途半端な数字です。

そこで、指標発表後の反応が一方向に伸びるときには、最初の兆しは直後1分足順跳幅の大きさに現れる場合があることに注目します。
直後1分足順跳幅を階層化し、階層毎に直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしがちか否かを検証します。

まずは順跳幅方向です。

次に値幅方向です。

結果、

  • 直後1分足順跳幅が11.6pips超(過去平均値の1.5倍超)のとき、直後11分足順跳幅は直後1分足順跳幅を超えて反応を伸ばしがち(場面発生頻度25%、期待的中率75%)
  • 直後1分足順跳幅が3.9pips超(過去平均値の0.5倍超)のとき、直後11分足値幅は直後1分足値幅を超えて反応を伸ばしがち(場面発生頻度44%、期待的中率67~100%)

です。


Ⅴ. 取引成績

まだ取引実績はありません。


関連リンク

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改訂履歴

初版(2021年1月4日) 新書式反映、2020年7-9月期集計分までを反映

以上

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