豪州物価指標「四半期住宅価格指数」発表前後のAUDJPY反応分析

本稿は、豪州物価指数「四半期住宅価格指数(※1)」発表前後のAUDJPYの過去反応を分析し、本指標での過去傾向に基づく取引方針を纏めています。
(※1)  ABSの公称統計名「Residential Property Price Indexes: Eight Capital Cities」

発表機関
オーストラリア政府統計局(Australian Bureau of Statistics:ABS)
発表日時
翌四半期2か月後の中旬火曜日10:30(現地夏時間は09:30)
発表内容
8州都(※2)における住宅(※3)販売価格指数や在庫数発表事例

(※2) 8州都は、シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレード、パース、ホバート、ダーウィン、キャンベラ。
(※3) 所有権が民間か非民間に関わらず、居住用建物が対象。商業的不動産は含まない。

目次太字クリックでジャンプします)。

Ⅰ. 分析結論
取引機会が少なく反応程度も小さいものの、反応方向が事前示唆されやすく勝ちやすい指標である
Ⅱ. 分析対象
2013年1-3月期分以降のRBA金融政策会合議事要旨との同時発表時を除く13事例
Ⅲ. 指標分析
2016年以降、RBA金融政策会合議事要旨と同時発表になることが多く、年1・2回程度しか取引できない
Ⅳ. 反応分析
反応方向を示唆するパターンが複数あり、発表後は短期追撃の成功率が高い
Ⅴ. 取引成績
分析適用率70%、分析的中率86%、分析適用時勝率90%

以下本文です。


Ⅰ. 分析結論
1.1 個別分析結論
注目内容=8州都住宅価格指数の「前期比(※4)」「前年比(※5)」の加重平均変化率(※6)

反応程度=小さい(直後1分足値幅の過去平均値5.7pips)

反応方向=かなり素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率75%)

指標間影響力比較分析RBA金融政策会合議事要旨との同時発表時は、本指標への反応を狙う取引不可

項目間影響力比較分析=指標発表前と発表直後は「前期比」の影響が強く、発表後しばらく経つと「前年比」の影響が強まる

利得分析=事後差異判別式の解1ips(Index Points)毎の直後1分足値幅は過去平均で3.0pips

指標一致性分析=反応方向の事前示唆が多く素直

反応一致性分析=直前10-1分足が指標発表後の反応方向と逆になりがち

伸長性分析=直後1分足順跳幅方向への追撃は5回に4回成功するので、残る問題はポジション解消のタイミング

(※4)(※5) それぞれ、ABS発表画面「Summary」最初の表の先頭行の「Weighted average of eight capital cities」の前期比と前年比の項を参照方。
(※6) 加重平均のウェイトは、国勢調査時の各地域住居合計数ほかに基づき、約5年毎に更新する(最新値は2018年12月四半期公開)。


1.2 結論

次節以降の論拠(データ)に基づき、本指標での過去傾向に基づく取引方針を下表に示します。
データからどのような過去の傾向を見出すかは自由です。

(※7) 上表において、期待的中率が定量化できているのは反応方向だけで(判定対象)、上記pipsは過去平均値や中央値に基づく利確や損切の参考値です。狙うべきpipsは、その時々のボラティリティや本指標への注目度によって大きく異なります。


Ⅱ. 分析対象

指標分析の対象は、2013年1-3月集計分から2020年1-3月集計分までの四半期消費者物価指数における

  • 前期比
  • 前年比

加重平均変化率です。

本指標の発表では、過去にときどき前月の発表値修正が行われているものの、気にする必要はありません。

反応分析の対象は、後記3.1項に記載理由に依り、下表のようにかなり少なくなります。


2.1 指標推移

分析対象期間における各項目毎の推移を下図に示します。

各項目毎の統計値を下表に示します。

各項目毎の判別式の解の統計値を下表に示します。

上表最後の行の「総合」は、後記3.2項に示す判別式の解の統計値です。


2.2 反応結果

分析対象期間における4本足チャート各ローソク足の各始値基準ローソク足を下図に示します。
図の配置は、直前10-1分足(左上)・直前1分足(左下)・直後1分足(右上)・直後11分足(右下)となっています。
そして、下図の歯抜け箇所は、後記3.1項に記載した分析対象外の期です。

2016年以降、歯抜け箇所の方が多くなります。
これは、後記3.1項記載理由に依るものです。

上図における各ローソクの反応程度の統計値とその分布を下表に一覧します。

指標結果の良し悪しに最も素直に反応しがちな直後1分足値幅の過去平均値は5.7pipsで、本指標は反応が小さい指標です。
分布を見ても、直後1分足と直後11分足の順跳幅が平均値の0.5倍以下となったことが多く、平均値の見かけ以上に反応しない指標だと言えるでしょう。

がしかし、1足内反転率の低さに注目しましょう。
更に、後記4.1項に示す通り指標結果の良し悪しに素直に反応しがちで、後記4.2項に示す通り直前10-1分足と直後1分足が反転しがちです。
これらのことを踏まえると、本指標は反応程度こそ小さいものの、反応方向への影響力は強い、と言えます。
だって、もし反応方向への影響力が弱いなら、例え本指標発表直後に素直に反応しても、1足内反転率が大きくなったり、反応方向の素直さが低くなったり、指標発表前後の方向一致率が低くはなりません(指標発表前のトレンドが、発表後も継続しがちになる)。


Ⅲ. 指標分析
3.1 指標間影響力比較分析

指標間影響力比較分析は、本指標が他の指標と同時発表された過去事例の実績に基づき、本指標よりもチャートへの影響力が強い指標との同時発表時を、本指標の反応方向に関わる分析対象から除くために行います
影響力の強さ」は、過去の同時発表時の事後差異判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率によって判定しています。

対象期間に本指標と同時発表された指標と、影響力比較結果を下表に一覧します。

指標名が青太字ならば本指標の方が影響力が強く、赤太字ならば本指標の方が影響力が弱い、と判定しています。

本指標は、分析対象期間にRBA金融政策会合議事要旨との同時発表が14回行われています。
その14回の事例では、RBA金融政策会合議事要旨の内容次第で、本指標結果がどうあれどっちに反応するのかわからない、と言えます。
よって、RBA金融政策会合議事要旨との同時発表時は、本稿反応分析に含めないことにします。

また、NAB企業景況感指数住宅ローン件数との同時発表時は、それらと本指標の方向一致率が(ほぼ)同じです。
よって、それら指標と本指標のどちらの影響力が強いか、判定できません。
がしかし、本指標の影響力が弱いとも言えないため、分析母数を増やすために本稿反応分析に含めることにします。

以上の結論は「RBA金融政策会合議事要旨との同時発表時は反応分析に含めない(その場合、本指標への反応を予想できないため)」、です。


3.2 項目間影響力比較分析

項目間影響力比較分析は、ひとつの指標で複数の注目すべき指数(項目)が発表されるとき、各指数(項目)が反応方向に与える影響力の強さと方向を求めます
各指数(項目)が反応方向に与える影響力の強さは、事前差異判別式の解の符号が直前10-1分足と、事後差異判別式の解の符号が直後1分足と、実態差異判別式の解の符号が直後11分足と、方向一致率が高くなるように判別式の各係数を求めます。
判別式の係数の値の大きさと符号が、各指数(項目)が反応方向に与える影響力の強さと見なせます。

さて、本指標の分析対象項目は、前月比前年比、でした。
まず先に、3.1項結論に基づく13回の事例について、各項目毎の差異判別式の解の符号とローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

次に、両項目を踏まえた各判別式を次のように立式します。

判別式=A✕前月比の差異+B✕前年比の差異
但し、
事前差異=市場予想ー前回結果
事後差異=発表結果ー市場予想
実態差異=発表結果ー前回結果(前回結果の修正が行われれば修正結果)

上式において、各判別式の係数と、各判別式の解の符号と各ローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

上表のように各判別式の各項目係数を決めると、指標発表後の反応が素直に記述できることがわかりました。


3.3 利得分析

利得分析は、各判別式の解の1単位当たり何pipsの反応が起きたかを、過去の実績から検証しています。

分析内訳として指標差異(左上)と反応程度(左下)の期間推移と、分析結果として反応程度を指標差異で割った利得分析結果(右)を示します。

事後差異判別式の解1ips(Index Points)毎の直後1分足値幅は過去平均で3.0pipsです。
但し、毎年の変化を見ると0.8~4.4pipsとばらつきが大きく、予想乖離幅の大きさで反応程度を見込むことはできません。


Ⅳ. 反応分析
本稿では分析母数が少ないため、移動平均線分析過大反動分析同期/連動分析を行いません。

4.1 指標一致性分析

指標一致性分析は、差異判別式の解がローソク足の大きさや方向を示唆していないかを定量分析しています。

各判別式の解とローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

相関係数(R2値)を読むまでもなく、いずれも相関が弱いことは一目瞭然です。

がしかし、各判別式の解の符号と4本足チャート各ローソク足値幅方向の一致率を纏めた下図をご覧ください。

指標発表以前に判明している事前差異判別式の解の符号は、直前10-1分足値幅方向を示唆しがちです。
そして、直前1分足値幅方向は、事後差異判別式の解の符号を示唆しがちです。
更に、事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向は一致率が75%と高く、発表結果の良し悪しに素直に反応しがちです。
加えて、実態差異判別式の解の符号と直後11分足値幅方向も一致率が高いことがわかります。

以上のことから、本指標は事前示唆も多く反応が素直で取引しやすい、と言えるでしょう。


4.2 反応一致性分析

反応一致性分析は、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の大きさや方向を示唆していないかを定量分析しています。

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

相関係数(R2値)を読むまでもなく、上左図と上中図は相関が弱いことが一目瞭然です。
上右図は相関が強いものの、係数(0.9289)を見る限り、直後11分足値幅は直後1分足値幅を削りがちなことがわかります。

次に、4本足チャート各ローソク足同士の方向一致率を下図に求めます。

直前10-1分足は陰線率が83%、直後1分足と直後11分足は陽線率が各75%・77%、と偏りが目立ちます
また、直後1分足や直後11分足は直前10-1分足と逆方向になりがちで、直後1分足と直後11分足の方向一致率は92%です。


3.5 伸長性分析

伸長性分析は、指標発表後に一方向に反応を伸ばしがちだったか否かを定量分析しています。

前項に示した通り、直後1分足と直後11分足の方向一致率は92%です。
がしかし、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばすか削るのかはわかっていません。
そのわからない点を、過去の傾向から探るのが伸長性分析です。

下図をご覧ください。

直後1分足よりも直後11分足の順跳幅が同方向に伸びたことは82%、値幅が同方向に伸びたことは58%でした。
初期反応方向への追撃は5回に4回成功するのだから、残る問題はポジション解消のタイミングになります。


Ⅳ. 取引成績

分析記事は不定期に見直しを行っており、過去の分析成績と取引成績は下表の通りです。

上表「分析成績」は、取引方針の反応方向についてのみ判定を行い、反応程度についての判定は行っていません。

結果、

  • 狙った発表事例(指標発表前に取引方針を開示)での方針適用率70%
  • 方針適用時の分析的中率86%、そのときの実取引勝率(※8)90%
  • 1発表当たりの平均獲得pips 9.02、同平均取引時間1分14秒

です。

取引機会が少なく反応程度も小さい指標ですが、比較的勝ちやすい指標だと言えるでしょう。

(※8) 実取引勝率には方針外取引の成績を含まない


関連リンク

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改訂履歴

2訂(2018年12月22日)
3訂(2020年6月25日) 新書式反映、2020年1-3月期集計分までを反映

以上

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