豪州物価指標「四半期住宅価格指数」発表前後のAUDJPY反応分析

本稿は、豪州物価指数「四半期住宅価格指数※1」発表前後のAUDJPYの過去反応を分析し、本指標での過去傾向に基づく取引方針を纏めています。

発表機関
オーストラリア政府統計局(Australian Bureau of Statistics:ABS
発表日時
翌四半期2か月後の中旬火曜日10:30(現地夏時間は09:30)
発表内容
8州都※2における住宅販売価格指数や在庫数(発表事例※3
反応傾向

  • 注目内容=四半期住宅価格指数の「前期比」と「前年同期比」の対予想乖離
  • 反応程度=小さい(直後1分足値幅の過去平均値5.7pips
  • 反応方向=かなり素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率75%
  • 伸長性=初期反応方向への短期追撃成功率は80%強にも達する

※1  ABSの公称統計名「Residential Property Price Indexes(居住用不動産価格指数)」。居住用建物のみ対象のため、他国同種指標での一般的呼称「House Price Indexes(HPI)」ではない。

※2  8州都は、シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレード、パース、ホバート、ダーウィン、キャンベラ。

※3  通例、ABS発表画面巻頭の「KEY FIGURES(重要値)」の表において、「Residential property prices(居住用不動産価格)」の「前期 to 当期」の項と「前年同期 to 当期」の項を参照する。所有権が民間か非民間に関わらず、居住用建物が対象で商業的不動産を含まない。本稿では指標名を一般的呼称の「住宅価格」に統一する。なお、発表値は前期下旬頃から当期中旬末頃の集計結果の8州都価格の季節調整済加重平均値。加重平均のウェイトは、国勢調査時の各地域住居合計数ほかに基づき、約5年毎に更新する(最新値は2018年12月四半期公開)。


Ⅰ. 分析結論
1.1  目次と要点
Ⅰ. 分析結論
下記成績に示す通り、本稿分析に基づく取引方針は有用。本指標は、反応程度こそ小さいものの、反応方向への影響力は強い。そして、反応方向を示唆する兆候が多々あるため、取引にあたって欲張らないことが肝要。但し、金融関連発表との同時発表が多いため、取引できる機会は少ない
Ⅱ. 分析対象
対象項目は「前期比」と「前年同期比」。2013年7-9月期集計分以降の発表27事例のうち、RBA金融政策会合議事要旨との同時発表時を除く13事例。まだ事例数が少なく、分析結果の信頼度は低い。
Ⅲ. 指標分析
指標発表前と発表直後は「前期比」の影響が強く、発表後しばらく経つと「前年同期比」が影響し始める。
Ⅳ. 反応分析
反応方向は素直(事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向の一致率75%)。事前差異判別式の解の符号は、各ローソク足値幅方向を示唆しがち。直後1分足順跳幅方向への短期追撃は5回に4回成功する(82%)。
Ⅴ. 過去成績
分析適用率は70%、分析的中率は86%、実取引における分析適用時勝率は90%

 


1.2 結論

次節以降のデータに基づき、本指標での過去傾向に基づく取引方針例を下表に示します。
データからどのような過去の傾向を見出すかは自由です。

※4  上表において、事後判定対象は反応方向のみ。参考pipsは過去の平均値や中央値やそれらの差。利確や損切の最適pipsは、その時々のボラティリティ、トレンド状態、レジスタンス/サポートとの位置関係によって大きく異なるため、事前予想できず判定対象外。


Ⅱ. 分析対象
2.1  分析母数

分析対象は、2013年7-9月期集計分から2020年1-3月期集計分までの四半期住宅価格指数における

  • 前期比
  • 前年同期比」(以下「前年比」と略記)

です。

本指標の発表では、過去にときどき前月の発表値修正が行われているものの、気にする必要はありません。

反応分析の対象は、後記3.1項に記載理由に依り、下表のようにかなり少なくなります。


2.2  指標推移

対象期間における項目毎の推移を下図に示します。

項目毎の統計値を下表に示します。

項目毎の判別式の解の統計値を下表に示します。

上表最後の行の「総合」は、後記3.2項に示す判別式の解の統計値です。


2.3  反応結果

対象期間における4本足チャート各ローソク足の各始値基準ローソク足を下図に示します。
図の配置は、直前10-1分足(左上)・直前1分足(左下)・直後1分足(右上)・直後11分足(右下)となっています。
そして、下図の歯抜け箇所は、後記3.1項に記載した分析対象外の期です。

2016年以降、歯抜け箇所の方が多くなります。
これは、後記3.1項記載理由に依るものです。

上図における各ローソクの反応程度の統計値とその分布を下表に一覧します。

指標結果の良し悪しに最も素直に反応しがちな直後1分足値幅の過去平均値は5.7pipsで、本指標は反応が小さい指標です。
分布を見ても、直後1分足と直後11分足の順跳幅が平均値の0.5倍以下となったことが多く、平均値の見かけ以上に反応しない指標だと言えるでしょう。

がしかし、1足内反転率の低さに注目しましょう。
更に、後記4.1項に示す通り指標結果の良し悪しに素直に反応しがちで、後記4.2項に示す通り直前10-1分足と直後1分足が反転しがちです。

これらのことを踏まえると、本指標は反応程度こそ小さいものの、反応方向への影響力は強い、と言えます。
だって、もし反応方向への影響力が弱いなら、例え本指標発表直後に素直に反応しても、1足内反転率が大きくなったり、反応方向の素直さが低くなったり、指標発表前後の方向一致率が低くはなりません(指標発表前のトレンドが、発表後も継続しがちになる)。


Ⅲ. 指標分析

以下の各項タイトル分析名をクリックすると、各分析方法の詳細説明頁に移ります。


3.1 指標間影響力比較分析

対象期間に本指標と同時発表された指標と、影響力比較結果を下表に一覧します。

指標名が青太字ならば本指標の方が影響力が強く、赤太字ならば本指標の方が影響力が弱い、と判定しています。

本指標は、分析対象期間にRBA金融政策会合議事要旨との同時発表が14回行われています。
その14回の事例では、RBA金融政策会合議事要旨の内容次第で、本指標結果がどうあれどっちに反応するのかわかりません。
よって、RBA金融政策会合議事要旨との同時発表時は、本稿反応分析に含めないことにします。

また、NAB企業景況感指数住宅ローン件数との同時発表時は、それらと本指標の方向一致率が(ほぼ)同じです。
よって、それら指標と本指標のどちらの影響力が強いか、判定できません。
がしかし、本指標の影響力が弱いとも言えないため、分析母数を増やすために本稿反応分析に含めることにします。

以上、結論は「RBA金融政策会合議事要旨との同時発表時は反応分析に含めない(その場合、本指標への反応を予想できないため)」、です。


3.2 項目間影響力比較分析

本指標の分析対象項目は、前月比前年比、でした。
まず先に、3.1項結論に基づく13回の事例について、各項目毎の差異判別式の解の符号とローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

次に、両項目を踏まえた各判別式を次のように立式します。

判別式=A✕前月比の差異+B✕前年比の差異
但し、事前差異=市場予想ー前回結果、事後差異=発表結果ー市場予想、実態差異=発表結果ー前回結果(前回結果の修正が行われれば修正結果)

上式において、各判別式の係数と、各判別式の解の符号と各ローソク足値幅方向の一致率を下表に纏めておきます。

上表のように各判別式の係数を決めると、指標発表後の反応が素直に記述できることがわかりました。


3.3 利得分析

分析内訳として指標差異(左上)と反応程度(左下)の期間推移と、分析結果として反応程度を指標差異で割った利得分析結果(右)を示します。

事後差異判別式の解1ips(Index Points)毎の直後1分足値幅は過去平均で3.0pipsです。
但し、毎年の変化を見ると0.8~4.4pipsとばらつきが大きく、予想乖離幅の大きさで反応程度を見込むことはできません。


Ⅳ. 反応分析
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4.1 指標一致性分析

各判別式の解とローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

相関係数(R2値)を読むまでもなく、いずれも相関が弱いことは一目瞭然です。

がしかし、各判別式の解の符号と4本足チャート各ローソク足値幅方向の一致率を纏めた下図をご覧ください。

指標発表以前に判明している事前差異判別式の解の符号は、直前10-1分足値幅方向を示唆しがちです。
そして、直前1分足値幅方向は、事後差異判別式の解の符号を示唆しがちです。
更に、事後差異判別式の解の符号と直後1分足値幅方向は一致率が75%と高く、発表結果の良し悪しに素直に反応しがちです。
加えて、実態差異判別式の解の符号と直後11分足値幅方向も一致率が高いことがわかります。

以上のことから、本指標は事前示唆も多く反応が素直で取引しやすい、と言えるでしょう。


4.2 反応一致性分析

各ローソク足値幅の代表的な関係を下図に示します。

相関係数(R2値)を読むまでもなく、上左図と上中図は相関が弱いことが一目瞭然です。
上右図は相関が強いものの、係数(0.9289)を見る限り、直後11分足値幅は直後1分足値幅を削りがちなことがわかります。

次に、4本足チャート各ローソク足同士の方向一致率を下図に求めます。

直前10-1分足は陰線率が83%、直後1分足と直後11分足は陽線率が各75%・77%、と偏りが目立ちます
また、直後1分足や直後11分足は直前10-1分足と逆方向になりがちで、直後1分足と直後11分足の方向一致率は92%です。


3.5 伸長性分析

前項に示した通り、直後1分足と直後11分足の方向一致率は92%です。
がしかし、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばすか削るのかはわかっていません。

下図をご覧ください。

直後1分足よりも直後11分足の順跳幅が同方向に伸びたことは82%、値幅が同方向に伸びたことは58%でした。
初期反応方向への追撃は5回に4回成功するのだから、残る問題はポジション解消のタイミングになります。


Ⅳ. 取引成績

分析記事は不定期に見直しを行っており、過去の分析成績と取引成績を検証します。

分析成績」は、取引方針の反応方向についてのみ判定を行い、反応程度についての判定は行っていません。
そして当然のことながら、分析時点よりも過去に遡った分析的中率には意味がありません(最新の取引方針に示した期待的中率通りになってしまいます)。

また「分析適用率」と「分析的中率」は、都度の指標発表前に取引方針を開示していたときだけの成績を集計しています。
取引成績」は、指標発表直前・直後におけるスプレッド拡大、スリップ多発、注文不可などの影響を考慮してもなお、本稿取引方針が有効か否かを判断するため、実取引における分析適用時勝率です。

結果、

  • 狙った発表事例(指標発表前に取引方針を開示)での方針適用率70%
  • 方針適用時の分析的中率86%、そのときの実取引勝率(※8)90%
  • 1発表当たりの平均獲得pips 9.02、同平均取引時間1分14秒

です。

取引機会が少なく反応程度も小さい指標ですが、比較的勝ちやすい指標だと言えるでしょう。

結論、本稿分析は(少なくとも以前の分析までなら)有用です。

※8  実取引勝率には方針外取引の成績を含まない。ここに挙げた実績は全て、別サイトの該日付ないしはその前日の投稿で事前に取引方針を開示しています。


関連リンク

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改訂履歴

2訂(2018年12月22日)
3訂(2020年6月20日) 新書式反映、2020年1-3月期集計分までを反映
3.1訂(2020年7月18日) 図表類表記を他の稿と同じに改訂

以上

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