B8 反応一致性分析の方法

ある時点のローソク足の方向を、それ以前に形成されたローソク足の方向から予想することがテーマです。
でも、それは難しいからこそ、より確かな気がするテクニカル指標をアテにするのが一般的です。
けれども、指標発表の直前直後は、そんなやり方が通用しません。

取引参加者は、テクニカル指標から予想できないチャートの動きを予感し、ポジションを取得したり解消します。
既に記した通り、指標発表10分前ぐらいから指標発表に向けてチャートが動き始め、指標発表10分後ぐらいまで指標結果の良し悪しがチャートに反映されます。
この指標発表前後のチャートの動きを予想するため、テクニカル指標よりもアテになる傾向が見つかる場合があります。
ある時点のローソク足の方向を、それ以前に形成されたローソク足の方向から予想しやすくなる場合がある訳です。

それが反応一致性分析です。

B8-1  問題点把握
B8-2  課題明確化
B8-3  課題解決方法
B8-4  集計図説


B8-1 問題点把握

以下に例に挙げる米国鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率は、2015年1月集計分~2019年11月集計分までの59回の発表において、同時発表指標がありません。
がしかし、多くの指標は過去に他の指標と同時発表が行われています。
指標一致性分析は反応方向を調べるため、指標間影響力比較分析の結果に基づき、まず最初に分析対象指標の分析対象事例選びます。
もし、対象指標よりも影響力が強い指標との同時発表が過去N回あれば、そのN回の事例を分析事例から除きます。

次に、対象事例の各ローソク足を散布図にプロットし、回帰分析で相関係数を求めます。
その例を下図に示します。

上図は左から、直前10-1分足と直後1分足直前10-1分足と直後1分足直後1分足と直後11分足、の実績値をプロットしています。

上右図は、3図のうちでもっとも回帰式(黒線)に沿って実データ(黒点)が並んでいます。
けれども、横軸範囲において△5~+5の分布範囲では、縦軸方向の正負との符号相関がありません。
上左図と上右図に至っては、横軸範囲全域で縦軸方向の正負との符号相関がありません
こうした現象は、取引において売買の方向すら決められない、という点で、分析上の致命的欠陥と言えます。

このことは、反応の方向と程度を回帰分析で精度高く予想することは困難、ということです。

よって、指標一致性分析の最初に上3図を掲げる意義は、以下の分析の一次データを開示するだけしかありません
そして、本稿テーマの問題点とは、過去の実績を多数・忠実に調べても、取引に有効な策が見出せない、という点です。


B8-2 課題明確化

そこで、反応程度と反応方向を予想することでなく、反応方向を予想することだけに課題を絞ります

下図の反応一致性分析では、4本足チャートの各ローソク足の反応方向率と反応方向一致率を求めています。

上左図の「反応方向率」は、各ローソク足が陽線か陰線かに偏っていないかを確認するために算出しています。
きっと長期的には50%に収束すると思われるものの、分析対象期間では「これだけ偏っている」と示しています。
あまりにも偏りが大きい場合には、分析がアテにできないことを示唆しています。
だって、反応方向が極端に陽線か陰線かに偏っているなら、他のローソク足の方向との相関がないことは明らかです。

上右図の「反応方向一致率」は、各ローソク足の方向一致率を表しています。
例えば、直後11分足は、直前10-1分足と59%、直前1分足と40%、直後1分足と72%、の方向一致率がある、と読みます。
一方、直前1分足は、直前10-1分足と44%、という方向一致率しか示されていません。
これは、本分析定義に基づき、それ以前に形成されたローソク足の方向だけを問題にしているためです。

ほとんどの場合、直後1分足と直後11分足の方向一致率を除くと、一致率は低いことがわかってます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率を除くと、長期的には50%に向けて収束するのでしょう。
それなのに反応方向一致率が高まる場面があるなら、その条件抽出こそがこの分析の課題ということになります。


B8-3 課題解決方法

そこで、4本足チャートでもっとも早く形成される直前10-1分足に注目します。

例えば、59回の分析事例のうち、直前10-1分足値幅が過去平均値の0.5倍を超えたことは44回(頻度75%)、過去平均値を超えたことは20回(頻度36%)、過去平均値の1.5倍を超えたことは11回(頻度19%)、過去平均値の2倍を超えたことは2回(頻度3%)、でした。

それぞれの場合において、直前10-1分足との方向一致率を下図に示します。

上図から、

  • 直前1分足は、直前10-1分足が過去平均値の1.5倍超のとき、直前10-1分足と逆方向に反応しがち(場面発生頻度19%、期待的中率88~100%)
  • 直後1分足は、直前10-1分足が過去平均値の2倍超のとき、直前10-1分足と同方向に反応しがち(場面発生頻度2%、期待的中率100%)
  • 直後11分足は、直前10-1分足が過去平均値超のとき、直前10-1分足と同方向に反応しがち(場面発生頻度36%、期待的中率71~100%)

が、本事例における分析結論です。

この内容は、前項に挙げた全体の「反応方向一致率」よりも精度高く多くの情報を含んでいます。


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以上

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