Ap.2-05 同期/連動分析の方法

A・B・Cという3つの指標があり、以前に集計したAの良し悪しがその後に集計したBの良し悪しと一致し、同じ時期に集計したBとCの良し悪しが一致する、とします。
このとき、AはBとCの「先行指標」、BとCは「一致指標」、BとCはAの「遅行指標」、と呼びます。

こうした指標同士の先行・一致・遅行は、前年比で語るべきことで、前月比で語るべきことではない、という気がします(正しいことは知りません)。
なぜなら前月比は季節要因の影響が大きいためで、そのため我々が目にする前月比表記の指標のほとんどが季節調整された値です。
いわば、季節調整値とは前月比を前年比のように扱うため、とも理解できます。
がしかし、それはうまくいっているように思えません。

ならば、前月比と前年比が両方発表されている指標で、どちらの結果を優先してFX取引すべきでしょうか。
それは、どの指標であれ前月比が優先です。
指標結果への反応は、前年比よりも前月比の良し悪しに素直になりがち、というのが実績です。

では次に、先行指標と一致指標と遅行指標で、どの結果を優先してFX取引すべきでしょうか。
このサイトのように、単月毎の指標発表前後の短期取引に限るなら、この設問は無意味です。
単月毎の指標取引では、発表日が先の先行指標や一致指標の良し悪しが、発表日が後の指標発表前後の反応方向を示唆している事例は少ないのです。
このことを、過去の実績から明らかにする方法を示すことが本稿のテーマです。


5-1 問題点の把握

ある指標Bの良し悪しを、先に発表された指標Aの良し悪しを根拠に論じた解説記事を見たことがあるでしょう。
でも、よく読んでみましょう。
指標Bの良し悪しが、指標Aの良し悪しと「同期」や「連動」しているという根拠が示されていることは滅多にありません。

でも、根拠の示されている一部の事例では、ふたつの指標の移動平均線の連動を挙げ、その上昇や下降に転じた時差を根拠にしていることが多いようです。
けれども、移動平均線は数か月~数年の平均なので、それでは当月の指標結果が改善するのか悪化するのかが50%前後しか当たらなくなってしまいます。
50%前後なら、何も分析しなくても当たります。

もっと取引に役立つように、直接的に指標Bの結果を指標Aの結果から予想することはできないのでしょうか。
何も、いつも予想できる必要なんてなく、いつも予想を当てる必要なんてありません。
このサイトの他の分析と同様に、予想できる場面を特定し、その場面で3回に2回以上勝てれば良いのです。


5-2 課題の明確化

指標の改善や悪化は「発表結果が前回結果を上回ったか否か」で判定します。
発表結果が市場予想を上回ったか否かではありません。
そして「発表結果が前回結果を上回ったか否か」が比較する指標同士で一致したら「方向一致」と判定します。

でも、ある指標が改善したときに別の指標が改善しがちだったとしても、ここでの課題は解決しません。
方向一致しやすい指標同士を見つけたら、先に発表された指標が改善していたならロング、悪化していたならショートで取引することにします。
そうした取引方法での勝率が67%以上あれば、ここでの課題は解決です。


5-3 課題の解決方法

例えば、米国個人支出(PCE)は、小売売上高と同じ集計月の結果が後で発表されます。
そして、個人支出小売売上高の良し悪しは同期している可能性があります。
ある期間における両指標の関係を下図に示します。

横軸は、個人支出小売売上高より〇か月先行/遅行かです。
縦軸は、今回結果が前回結果よりも増減が一致した確率を表しています。

例えば、横軸で両指標が同期の箇所を見てみると、方向一致率は34%です。
一方、個人支出小売売上高よりも1か月遅行と2か月遅行の箇所は、それぞれ方向一致率が70%25%です。
結果、小売売上高に対し個人消費は、1・2か月遅行して追従しています。
但し、2か月遅行時は、小売売上高と改善や悪化の方向が逆になっています。

ここでは、なぜ同月集計分の改善や悪化が同期せずに1・2か月遅行するのかや、なぜ2か月後は改善/悪化の方向が逆になるのか、は考えないことにします。
つまり、小売売上高は個人支出の先行指標で時差1か月、という結論と考えましょう。
もしそうならば、個人支出発表時の直前10-1分足と直後1分足が、1か月前に発表された小売売上高の良し悪しに素直に反応していれば、個人支出発表時に前月の小売売上高の増減を気にする必要があります。

結果を、下表に整理しておきます。

前月の小売売上高の増減と当月の個人支出の増減は、方向が70%も一致していました。
けれども、前月の小売売上高の増減を参考にしても、当月の個人支出発表前後の反応方向は当たりません。
よって、小売売上高は個人支出の先行指標で時差1か月ということが正しくても、そんなことは取引上の役に立たない、が結論です。

初心者やアマチュアが指標取引をする際に注意すべきことは、この例のように取引上の参考にすべきでない先行指標が多いものの、そのことを過去実績に基づき調べていない解説が多い、ということです。


5-4 分析方法図説


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以上

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