3 取引通貨ペアの選択

本稿テーマは、主要指標一般に「反応方向の素直さ」と「反応程度の大きさ」に、通貨ペアによる有利・不利があるか、です

指標結果の良し悪しは、事後差異判別式(=発表結果ー市場予想)の解の符号(プラスが陽線方向に対応、マイナスが陰線方向に対応)で判定します。
そして、この解の符号と直後1分足値幅方向の方向一致/不一致を判定します。

反応方向の素直さ」の程度は両者の方向一致率で表します。
反応程度の大きさ」は指標発表直後1分足の値幅が何pipsだったかで表します。


3.1  取引通貨ペア選択による有利・不利の事例

判別式を用いた定量指標分析の方法は別稿で詳述します。

当然、指標結果の良し悪しを事前分析して取引に活かすなら、再現率が高い方が勝率が稼げます。
また、高い再現率が見込まれる指標で、事前分析通りに取引するなら、反応程度が大きいほど大きく稼げます。


例えば、下図をご覧ください。

この図は、2019年7月5日の米国雇用統計発表前後の主要通貨ペア毎の4本足チャートです。

このときの雇用統計ではNFP・失業率が市場予想を上回っており、指標発表後の反応方向がどの通貨ペアでも素直にUSD買となっていました。
但し、発表後の反応程度は、USDJPY>EURUSD>GBPUSD>AUDUSD、の順に大きくなっていました。
だからもし、事前に「指標結果が良くなる」と的確に予想できていたら、最も大きく利確できた可能性が高かった通貨ペアはUSDJPY、ということになります。


3.2  反応方向の素直さ

調査は、2018年9月~2019年8月までの1年間の主要国主要指標で行いました。
この間の全ての指標を調査対象にすることはできないため、実際に取引したか取引するつもりで事前分析を行った指標のみを対象としました。
事前分析(指標発表前に投稿)や事後検証(指標発表後に追記)のついでに都度データを記録しておいたのです。
個々の記録は全てこちらのブログに全て開示しています。

その他、細かな集計条件は次の通りです。

  • 調査期間における指標発表国通貨とのJPYクロスとUSDストレートでの通貨ペアの反応を、事後差異判別式の解と直後1分足の値幅方向の一致/不一致を計数しました。
  • 事後差異判別式の解が0、もしくは、直後1分足値幅が0だったときは、方向一致/不一致を判定していません。
  • 米国指標の場合は、USDJPYとEURUSDで判定しました。
  • 各国中銀による金融政策発表時のデータは除きました。これは、金融政策発表時の分析には事後差異判別式を用いていないため、発表結果良し悪しが判定できないからです。
  • 方向一致率は、方向一致回数/(方向一致回数+方向不一致回数)、で求めています。

結果を下表に纏めます。

月によって対象指標数がかなりバラついているのは、相場環境よりも私の本業が多忙だったか暇だったかが原因です。
そのため、ある指標は10回、別の指標は1回、と集計数はばらついています。
それでも延べ158回の指標発表時のデータですから、それなりの傾向は掴めます。
私の本業の多忙さと指標の結果や反応は無関係なので、いわば調査対象期間の指標をランダムに抽出して集計したようなものです。

方向一致回数と方向不一致回数の合計が対象指標数と一致していないのは、先の集計条件に理由を挙げた通り、事後差異判別式の解か直後1分足値幅の少なくとも一方が0だったときです。
こうした場合、両者の方向一致/不一致は判定できず、判定できないことを考えても仕方ありません。
よって、判定できた事例数だけで方向一致率は算出しています。

指標結果の良し悪しや反応方向や反応程度の解説や解釈は、指標発表後にロイターやブルームバーグの配信記事が載っています。
けれども、ここでの集計は、それら記事で散見される「意外に悪くない指標結果を好感した反応」や「既に織り込まれていた結果に、事実売りとなって反転」といった解説や解釈とは全く関係ありません。
指標発表事後にいかに正しい解釈ができても、何の役にも立ちません

そうやって集計した結果は、指標発表国通貨とのJPYクロスでは79%の方向一致率USDストレートでは70%の方向一致率、でした。
その差は9%で、JPYクロスでの取引の方が素直な反応が期待できる、でした。

素直な方向への反応は基本通りです。
素直でない方向への反応は、何に基づくのか識者の解説や解釈を読むまでわかりません。
だからもし、これからFXの勉強を重ねつつ経験を積むのなら、素直な反応をアテにすべきでしょう。
それで全体の79%なり70%の事例で、我々アマチュアも解釈に困りません。

結論、指標発表時の取引は指標発表国通貨とのJPYクロスが有利(素直)です。


3.3  反応程度の大きさ

上記同期間の同指標について、指標発表国通貨とのJPYクロスとUSDストレートの直後1分足値幅の大きさ(1pipsも△1pipsも同じく1pipsと見なす)を集計しました。

その他、細かな集計条件で3.2項との違いは次の通りです。

  • 直後1分足値幅が0だったときも集計に加えています。
  • 金融政策発表時の直後1分足値幅も集計しています。
  • その結果、対象指標数は180に増えています(反応方向の素直さの判定では、対象指標数が158)。

結果を下表に纏めます。

上表の「平均値幅」は、反応程度計/対象指標数、で求めています。

結果は、指標発表国通貨とのJPYクロスでは平均値幅9.4pipsUSDストレートでは平均値幅6.5pips、でした。
その差は2.9pipsで、JPYクロスでの取引だとUSDストレートでの取引よりも45%も反応程度が大きいことがわかりました。

もし、これからFXの勉強を重ねつつ経験を積むのなら、素直な方向への反応をアテにしてFXが上達する方が高い勝率が稼げます。
そして、高い勝率が稼げるようになったら、指標発表国通貨とのJPYクロスで取引する方が利確できるpipsが45%も増えると期待できます。

結論、指標発表時の取引は指標発表国通貨とのJPYクロスが有利です。


本稿のまとめ
  • 主要国主要経済指標の取引では、指標発表国通貨とのJPYクロスでの取引の方が、USDストレートでの取引よりも有利
  • ここで「有利」とは、指標発表直後に指標結果の良し悪しに素直に反応し、しかも指標発表直後の反応が大きいことを指す
  • 当然、この「有利」を活かすためには、指標取引の勝率が50%よりも高く安定して維持できなければいけない(勝率50%未満だと、損失が増えてしまうことになってしまう)

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以上

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