A02 指標分類と反応

チャートが動く原因は、経済規模の変化に繋がること金融政策の変更に繋がることが大半を占めます。そのため、それらを直接的・間接的・部分的に数値で示唆する指標変化には注目が集まります。

FXをやるなら、金融・経済・為替の知識を広く知っておいて損はないでしょう。ときどき「(FXに)そんなものはいらない」と割り切る解説記事が見受けられます。けれども、それはちょっと乱暴な割り切りです。何事も自然に・普通に・常識的に始めましょう。

どんな分野であれ、最初に全体を広く知って、次に使える場面を選べるようになって、そして最後に応用できるようになったら、知識は強みを発揮します。専門家になる必要はないにせよ、専門家の助言をだいたい理解できるようになることは、何事であれ無駄になりません。

それには、指標の種類毎に基本的な反応方向を押さえておきましょう。

本稿のテーマは、指標分類毎の基本的な反応方向の整理で、

A02-1  指標分類:経済実態指標と政策参考指標に大別
A02-2  経済実態指標:好景気か否かを示す指標
A02-3  政策参考指標:金融政策の継続/変更を示唆する指標

の順に紹介します。


A02-1  指標分類

本サイトでは、経済指標を

  • 経済実態指標=経済規模の変化に繋がる指標
  • 政策参考指標=金融政策の変更に繋がる指標

に大別しています。

指標には、それぞれ金融・経済・為替の理論に沿ったチャートへの影響(以下「反応」と記します)があります。理論に沿った方向に反応することを「素直な反応」といいます。

さて、最初に記した通り、チャートが動く原因は、経済規模の変化に繋がることと金融政策の変更に繋がることが大半を占めています。だから、基本的な指標分類反応方向の関係は、最も幅広く役立つ知識となります。例えば、要人発言がチャートを大きく動かすことがありますが、それもこれらの関係に基づいています。

どの指標であれ、事前想定より発表結果が良ければその国の通貨が買われ、悪ければ売られる反応が素直な方向と解釈されます。事前想定とは市場予想のことだと思っていれば良いでしょう。但し、市場予想があったりなかったりする指標や、市場予想の精度が低い指標もあります。そうした指標の事前想定は前回結果となることもあります。

また、前回結果に比べて今回の事前想定が良すぎたり悪すぎたりすると、指標発表前にレートへの「織り込み」が行われます。織り込みが十分に進んだ場合、指標発表直後から「素直ではない方向」に反応することも多く、これを「事実売り」とか「事実買い」と言います。「事実売買」は「噂で買って事実で売る」という相場取引の格言を意識した動きです。これは指標発表直後こそ素直ではない方向に反応するものの、大きく見れば「素直な反応」と言えるでしょう。

A02-2  経済実態指標

形が定まらないのに、なぜ「実体」経済と表記されるのでしょう。ともあれ、以前のブログから「実態」と表記していたので、このサイトでもそれで通します。ここは気にしないでください。

さて、経済実態指標には、規模指標収支指標消費/販売指標生産指標などに分類できます。そしてなぜか、住宅指標だけは消費・販売・建設をひとまとめにして独立して説明されることが多いようです。

それぞれ、素直な反応とは次の方向を指しています。

  • 規模指標=成長率が事前想定よりも高くなればその国の通貨が買われ、低くなれば売られる反応が素直な方向と解釈されます。GDPの変化は成長率といい、成長は経済規模の拡大を意味します。規模拡大に転じたり転じそうなときは資金が集まり、規模縮小に転じたり転じそうなときは資金が逃げる、と理解できます。
  • 収支指標=事前想定よりも黒字が大きいか赤字が小さければその国の通貨が買われ、その逆は売られる反応が素直な方向と解釈されます。国際収支の黒字は経済規模の拡大に寄与し、多くの国では国際収支の変化に占める貿易収支の変化の割合が大きいため、貿易収支に注目が集まります。なお、主要国で貿易依存度が高い国は独国や英国といった欧州諸国です。貿易依存度が高い国では、収支でなく、輸出入額の増減がチャートに影響します。
  • 消費/販売指標=事前想定よりも消費/販売が拡大していればその国の通貨が買われ、その逆は売られる反応が素直な反応と解釈されます。消費拡大は成長に寄与するか、成長したからこそ消費拡大が起きた、と解釈できます。多くの先進国では、GDPに占める個人消費の割合が高いため、経済実態指標のなかで最も反応が大きくなりがちです。なお、よく誤解されていることに、経済指標の個人消費とは民間消費を指していることが多く、一般家庭の家計支出を指しているとは限りません。
  • 生産指標=事前想定よりも製造・生産・産出が大きければその国の通貨が買われ、その逆は売られる反応が素直な反応と解釈されます。それらの増加は収支/消費/販売の各指標の変化を通じて成長に寄与するか、成長したからこそそれらが増加した、と考えられます。かつては、生産指標は消費指標よりも先行すると言われていました。しかし、生産だけでなく受注や在庫や価格も含めた最近の総合的な生産指標は、同様に総合的な消費指標よりも先行するとは言えないことが多い、というのが実際です。

主要国(米欧英豪)の主要経済実態指標を下表に纏めておきます。

A02-3  政策参考指標

政策参考指標は、政策指標・景気指標物価指標雇用指標、に分類できます。

素直な反応方向は次のように整理できます。

  • 政策指標=かつてと異なり、最近は政策変更が近いことを十分に市場に告知してから政策変更が行われがちです。その結果、政策変更前にレートへの織り込みが進み、実際に政策変更が行われた直後から素直な方向とは逆方向に売買されることが多くなりました。政策変更には「引締(利上げも含む)」と「緩和(利下げも含む)」があります。引締の程度が事前想定より大きかったり、緩和の程度が事前想定より小さいと、その国の通貨が売られる反応が素直な方向と解釈されます。逆に引締の程度が事前想定より小さかったり、緩和の程度が事前想定より大きいと、その国の通貨が売られる反応が素直な方向と解釈されます。
  • 物価指標=事前想定より物価が上昇していればその国の通貨が買われ、その逆は売られる反応が素直な方向と解釈されます。主要国の中銀は物価安定を使命に課せられており、過度にインフレが進行しているときは利上げ予想に繋がり、デフレ進行は利下げ予想に繋がります。金融政策変更が意識されていないときは、値上げしても売れるほど景気が良いか、値上げすると売れないほど景気が良くない、と捉えることができます。
  • 雇用指標=事前想定以上の雇用改善はその国の通貨が買われ、その逆は売られる反応が素直な方向と解釈されます。主要国中銀は、物価安定とともに失業率低下や雇用増を使命としています。最近は消費拡大や縮小に繋がる賃金にも注目が集まるようになりました。賃金上昇は物価上昇に繋がるのでその国の通貨が買われる反応、その逆は売られる反応が基本です。
  • 景気指標=事前想定よりも良ければその国の通貨が買われ、悪ければ売られる反応が素直な方向と解釈されます。景気指標は、個々の事業や家計の改善や悪化をアンケート集計し、世間全体の景気の拡大や縮小を予想します。景気動向は、物価や雇用を始め投資や生産計画や賃金/消費にも繋がるため、今後の経済実態の変化の方向を示唆する、と考えられます。

主要国(米欧英豪)の主要政策参考指標を下表に纏めておきます。


本稿のまとめ
  • 指標発表直後は、発表結果の良し悪しに素直に反応しがち
  • 指標発表前後の取引を行うために、指標の分類と分類毎の素直な反応方向を知っておいた方が良い

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